episode14

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episode14

愛唯子は俺の予想通り昼過ぎても起きることはなかった。 俺の少し遅めの昼ごはんと、愛唯子の夕飯を作っておいた。 抱きつぶしてしまったから・・・。 ベットで横になっている愛唯子の所に行くと俺を睨んでいた。 「愛唯子。飯作ってあるから動けるようになったら食べて」 愛唯子の視線を気にせず愛唯子のおでこにキスをする。 「そんな顔するなよ。俺は愛唯子をずっと抱いていたいんだよ。 愛唯子が大好きなんだから・・・」 「限度があるでしょ?」 「ちゃんと仕事の事を考えてるつもりだよ。考えてなかったたら毎日してるよ。今日だって帰ってきて、愛唯子がOKしてくれたら抱くからね。じゃあ 行ってくるから。」 「うん。飲み過ぎないようにね」 【barエトワール】 「こんばんは。大吾さん」 「廉くん。亮二くんと翼くん来てるよ。奥の席に案内してるから」 「ありがとうございます。」 「適当にお酒とおつまに置いてあるけど何かあったら声かけて。」 奥の席にいくと、亮二と翼がすでに飲み始めてた。 「先に始めてるぞ」 「全然いいよ。」 「ビールでいいか?」 「サンキュ」 3人で飲むのは久しぶりだ。 「で、何かあって俺らを呼んだんじゃないの?」 「まあ。絶対何かあるってことじゃないんだけど、なんか嫌な予感がするん だよな・・・」 「香坂のこと?」 「香坂って誰?」 翼は部署が違うから香坂の事を知らない。 俺は香坂の事を話した。 「でも、告って振っただけなんだろ?」 亮二にはそこまでしか話してなくて、言葉が出てこない」 「お前まさか・・・やってんの?」 「・・・ああ・・・」 「なんだよ・・・マジでお前の学生時代クソだな。学生の時にあってたら 絶対に友達になってないぞ!」 「・・・」 香坂の事を振った後に、1回だけでいいからという話になった。 女を抱くことに抵抗がなかった俺は何も考えず抱いたと思う。どういうSEX だったとかは全く覚えていない。 「昨日の歓迎会の様子だとまだお前に気がある感じだろ?」 「大学のOB会で俺の就職先を聞いて、転職してきたって言われた・・・。 1次会の解散した後についてきて、忘れられないって言われて、彼女がいる って答えたら、2番目でも体の関係だけでもいいからって言われた・・・」 亮二と翼は黙ってしまった。 「その女、ヤバそうじゃん。新藤は?知ってんの?」 「愛唯子には俺の学生時代は女の扱いがひどかったっていう事と、香坂が 大学の後輩で告られたけど断ったってことは話した。 「やったとは言ってないのか?」 「言えなかった・・・」 「はあ・・・お前はさ・・・で、新藤は?」 「愛唯子は出会う前の事だから気にしないって。愛唯子の知っている俺を 信じるって言ってくれた。お互いの両親にも挨拶してるし、クリスマスには 入籍する予定だから、あいつにかき回されたて結婚ダメになったら困る・・・ せっかく愛唯子を俺の愛唯子に出来たのに・・・」 「自業自得だろ?」 翼の言葉に何も言い返せなかった。 「香坂はお前のフォローに入ってるからな・・・」 「距離はちゃんと取ってるし、必要なこと以外は話してない」 「新藤は社内だと女友達限られるからな・・・あいつ呼ぶか?」 翼が携帯を取り出してどこかに電話をかけた。 「30分位で来れるらしいからひとまず飲んでようぜ」 しばらく3人で最近の仕事の話とか、彼女がいないのかとか他愛のない話を していた。 「翼、お待たせ!」 声の方に目を向けるとそこにいたのは、同期で社内で唯一の愛唯子の友達と いっていいだろう、小泉咲菜(こいずみさな)だった。 「咲菜、こっち座って」 なぜ翼は小泉を呼んだのだろうか? 「廉、さっきの話を咲菜にもしていいか?」 「ああ・・・」 翼がかいつまんで状況の説明をする。 「遠矢くん・・・クソだな」 小泉はさっぱり女子でなんでもズケズケいってくる。 「俺が広報部で新藤を守ってやれるのも限度がある。佐那と咲菜と一緒だったら周りも問題ないだろう?」 まあ確かにそうだ。俺と亮二と翼は裏では御三家と言われ女子達に一目置かれている話を聞いたことがある。 そんな中、俺と付き合っている愛唯子が翼と一緒にいる事が増えたら変な事に なりそうだ。 「なんで、翼と小泉は下の名前で呼びあってんの?」 亮二の突っ込みに確かにと思った。 「俺たち、付き合ってんだよね。」 「「えー----。いつから?」」 「2年くらいたってるんじゃないかな?愛唯子は知っているよ。」 全然気が付かなかった・・・・。でも改めてみると2人の距離感とか雰囲気 が温かく感じた。 「ちなみに、俺も彼女いるからな」 亮二が言う。 「亮二も?いつから?」 「大学卒業する前位から付き合ってるからもう4年・・5年かな。この前 結納して来月に式挙げる。」 「「「えー---聞いてない---」」」 俺、翼。小泉が絶叫する。 「言ってないからな。」 クールに亮二が言う。 「式は家族だけでする予定。お前らには式が終わったら紹介しようと 思ってたところ」 「まあ廉の面倒ごとのおかげて、みんなの近況聞けてよかった感じか?」 翼が苦笑している。 「面倒かけてごめん。」 俺はそれしか言えない。もともと俺の女癖の悪さが招いたことだ。 「廉が新藤を想う気持ちは十分わかってる。新藤と廉の幸せを俺たちも 願ってるよ。だから気にするな。」 3人が俺を温かい目で見てくれる。俺は自分の不甲斐なさを悔やんだ。 それから4人で今後の事などいろいろな話をした。 久しぶりだったのもあり、かなり遅くまで飲んでしまった。 愛唯子は多分寝ているだろうと思い、静かに玄関の扉を開けると リビングに灯りが付いていて、愛唯子が映画を見ていた。 「おかえり。」 「起きてたの?」 「いっぱい寝たから眠れなくなっちゃって・・・。ご飯おいしかった。 ありがと」 抱きしめたいけど、酒臭いと思うから急いでシャワーを浴びた。 水を飲みながら愛唯子の隣に座る。 「今日さ・・・翼と小泉の事聞いたんだ。愛唯子は知ってたんだろ?」 「うん。ごめんね。」 「なんで?愛唯子悪くないじゃん。それよりさー亮二が来月結婚すんだって!」 「え?」 「あいつなんて入社する前から彼女いたんだぜ。びっくりだよ。式挙げた ら俺らに紹介してくれるっていった。」 それから一緒に愛唯子が見ていた映画をみて今日はそのまま一緒に 眠った。 愛唯子の寝顔を見ながら、このまま何も起きない事を願った。
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