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episode5
翌日、メイは少しぎこちない感じだった。
それは俺の事を男として意識をしてくれたんだと認識した。
「送ってくから」
「ありがとう。」
車の中でもいつもと違う空気だった。
メイが車から降りて助手席の窓を開ける。
「メイ。そんなに意識すんなよ。やりずらい。」
「してないよ・・・。でも、ちゃんと考えるから・・・」
「よろしく!じゃあな」
部屋に戻ってベットを見ると、昨日の事を思い出してしまう。
メイの顔、声、しぐさ、全部可愛かったあ。
あれからメイを飯に誘ったりしているが、ずっと断られている。
まあ12月に入ると仕事が忙しくなる。
俺も毎日残業だから仕方ないのもあるのだが・・・。
メイと部署が違うからなかなか社内でも会うことがあまりない。
【24日と25日は俺と一緒にいて欲しい】
メイにはメッセージを送っている。返事はまだ返ってきていない。
今日も金曜日なのに残業。ちょっと飲みたくなっていつもの所へいく。
「いらっしゃい。廉くん。ちょっとご無沙汰だね。」
「今忙しくて・・・家と会社の往復ですよ・・・」
「めいちゃんと一緒だね。」
「遠矢。お疲れ」
よく見るとカウンターにメイがいる。
「メイー」
俺はメイに抱き付いた。
「ちょっと・・・」
「ごめん。メイが不足しすぎて・・・充電させて」
メイは黙ってしまったが俺を振り払おうとはしない。
「飲みにいくなら声かけてくれたらいいのに」
「疲れてるかなって思ったの」
「メッセージの返事も返ってこないじゃん」
「考え中なの」
プイとそっぽを向かれてしまった。
カウンターで飲んでいると、2人の女が近寄ってきた。
「あのー一緒に飲みませんか?」
「は?俺。今、彼女を口説き中だから」
メイの方を見る。メイは知らん顔をしている。
女たちは自分の席に戻っていった。
「ウザ」
「遠矢は会社でもモテてるの自覚してる?」
「は?モテてなんかないだろ?」
モテる要素はもっていると自覚はしているが、会社では冷酷だと言われている
から女からなんか話しかけられない。
「俺より、お前の方がモテてんだろ?声かけられてんじゃん」
「かけられてない」
なんか突っかかってくる。俺も仕事で疲れてて余裕ないからイライラしそう
になる。このまま一緒にいると変な方向になりそうだ。
「大吾さん、やっぱ今日は帰ります。メイまたな。」
小さい男だな俺って・・・。
12月中旬、やっと仕事も落ち着いてきた。年末年始の長期休暇に向けて
計画的に仕事を進める。
メイからはクリスマスの返事は来ないし。
エレベーターからおりると女子の団体から声を掛けられた。
「遠矢さん、クリスマスに飲み会するんですけど一緒にどうですか?」
こいつら誰だよ?隣のエレベーターからメイが出てきた。
「メイ!」
メイはこっちに気が付いたがそのまま歩いて行ってしまう。
「遠矢さん!聞いてくれてますか?」
「聞いてないし、行かない。メイに片思い中だから邪魔しないで」
「ちょっとー遠矢さん」
急いで追いかけたがメイはもういなくなっていた。
「廉じゃん。何してんの?」
「翼・・・メイを見失った」
「まだ新藤と付き合えてないの?」
「知ってるくせにウザイな」
天野 翼(あまのつばさ)こいつも同期の1人で、メイと同じ部署だ。
「お前さー自分の気持ちだけで突っ走るな。新藤をちゃんと守ってやれない
ならかまうなよ。」
「は?それなんだよ」
「忠告はしたからな。じゃあな」
翼のやつは何を言ってるんだ。
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