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はじめまして
「皆様、はじめまして。英 カレンと申します。好きなものはラブコメと謎解きです。どうぞ、よろしくお願いいたします」
高校入学したてのクラス内。
それなりに悩んだ末の自己紹介を優雅に終えたカレンは、にこりと笑って席についた。
そして、ものの見事に、ちょっと不思議ちゃん、もしくは、なんだか痛い人認定をされてしまった。
「多少の覚悟はしてましたけど、ここまでとは思いませんでしたわ」
わいわいと、早くもグループができ始める中、カレンはすっかり遠巻きにされている。
原因となっているカレンのお嬢様口調は、お育ちがいいから――というわけでもなく、小学校へ入学する頃に放映が始まったテレビアニメ『魔女っ子探偵マジカルカリン』の真似っこだ。
ヒロインと名前が似ていたので観ていたら嵌まってしまい、友達となりきりごっこで遊んでいる内に喋り方が定着していた。
中三に上がる頃に決まった親の都合による引っ越しに合わせて受験したため、一人も知り合いがいない中での高校でデビューとなるため、一応、色々と考えてみたのだけど、慣れきった口調に愛着もあったので貫き通すことに決めた。
誰かを傷つける口調でないせいか、イジメられたりはしてないので、別にいいやと開き直ってみながらも、ちょっぴり失敗したかもしれないと思わなくもなカレンだ。
とにかく、デビュー失敗と言わざるを得ないカレンの学生生活は話す相手がいないまま、ゴールデンウイークを直前にして、かなりの暇を持て余していた。
部活動でもしたら違うだろうかと放課後の校舎を散歩していたら、外から雰囲気のよくない会話が聞こえてきて耳を澄ましてみた。
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