鼈甲の細工物

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硬い鼈甲が引き抜かれて虚ろになったそこはひくひくと痙攣し、またすぐに満たされることを期待してとろりと透明な粘液を垂れ溢す。 修之輔は先ほどまで弘紀が咥えしゃぶっていた己の肉棒を蕩ける穴に宛がってゆっくりと挿入した。 血の通った温度と肉壁にみっしりと密着する薄皮の柔らかさ。 体の奥に侵入してくる圧迫は、弘紀の内臓を押し上げ息を詰まらせるが、それ以上にこの先に待つ快楽への予感が息を浅ましく乱れされる。 「っあ、……はぁ、はぁ……んっ……」 「弘紀、大丈夫か」 向かい合う座位で体を繋げようとする修之輔の、いつもは淡々とした声が乱れている。 その理由が自分の体のせいだと、そう思うだけで弘紀の頭の中は甘く痺れる。その痺れは知らず、弘紀の後孔の締め付けを強くした。 「……っ、弘紀」 耳に注がれる修之輔の声に切実な色が滲み、まるで耳から先に修之輔の体液を受けているようで、鼓膜に届くまでに修之輔の言葉が溶けてしまう。 意味をなさない言葉ならもう要らないから、と、修之輔の唇に自分の唇を押し当てて、けれど自ら誘い込んだ修之輔の舌が口腔に入ってくる濡れた感触にまた背筋が反ってしまった。 どこを触れられても性感は弘紀の体を震わせて、ただ快楽の頂点への欲求だけが頭の中に止めどなく満ち溢れてくる。 もはや言葉が通じずに細かく痙攣を繰り返すだけの弘紀の体を、修之輔は一度自分から離して床の上に横たえた。  後孔の中、半ばまでしか満たされていないのに体を離されて、弘紀は詰る目線を修之輔に向けた。が、胸の突起に触れてくる修之輔の指に、漏れる声音は快楽にあえぐ甘い鳴き声にしかならなかった。 「あ、あ……んっ、あ……ん」 修之輔の指先が弘紀の乳首を捏ね、抓み、押しつぶしている。その度に自分の喉の奥から喘ぎ声が漏れてくるのを他人のそれのように遠く耳に聞いた。 肩から力が抜けていく弘紀の様子を確かめて、修之輔は片方の乳首に唇を寄せ、弘紀と目線を合わせながら舌でゆっくりと舐めあげた。 指に摘ままれる刺激と、舌に舐め回される刺激。 異なる刺激の愛撫を両の乳首に同時に受けて、弘紀の背からは力が次第に抜けていく。反っていた腰は床の上に柔らかく伸びて、両足の付け根を修之輔の両手に掴まれたと思った、次の瞬間。 ひと息に孔を奥まで貫かれた。 「ああ、あ、あ……あぁーっ!」 望んでいたものをようやく与えられた弘紀の口からは、悲鳴にも似た悦楽の矯声が上がった。 修之輔は弘紀の体をゆっくりと揺すり、弘紀の体の内部に挿入した肉茎を密着させる。 擦れる粘膜は互いの体が分泌する粘液に塗れ、塗れた音が繋がった場所から聞こえてくる。 くちくち、くちゃくちゃと大きくなる粘液の音に合わせて、やがて弘紀は自ら腰を動かし始めた。
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