「卒業」 斉藤由貴

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「卒業」 斉藤由貴

卒業シーズンになると色んな卒業ソングが流れますね。 皆さんにも少なからず卒業(主に義務教育)について思い入れがある曲はあると思います。 明るい未来を想像させてくれる歌、思い出に浸る歌、思わず涙してしまう歌、新しい一歩を力強く応援してくれる歌… そんな中でも俺はこの曲です。 斉藤由貴さんは、今はすっかり女優としてのイメージがありますが、元々はアイドルでした。 確かこれがデビュー曲です。 「制服の胸のボタンを〜」 「机にイニシャル彫るあなた〜」 「頭かきながら逃げるのね」 「だけど東京で変わっていく」 昭和を感じさせますよね?笑 俺はこの曲が発売された時のリアルタイムの世代ではありませんが、歌詞のような経験は少なからずありますし、その感覚、世界観がわかります。 この当時、卒業はそれまでの関係性を大きく転換してしまうものだったように思います。 数年間を共に過ごし、コミュニケーションは文字上が主体ではなく、生の声であり、匂いであり、体温であった時代。 それが卒業によって、環境がガラっと変わってしまう。 今でも卒業という通過点は同じはずなのに、離れてしまう人と人との距離は当時の方がはるかに遠く、そしてお互いが見えなくなる事での寂しさは多分想像以上でした。 「卒業式で泣かないと、冷たい人と言われそう」 「でももっと悲しい瞬間に、涙は取っておきたいの」 このサビに集約されてます。 卒業前の日常がもう戻らない悲しさはもちろんあるけど、それ以上にそこから時間が経過してしまうごとに、あの頃のような関係性は薄れていってしまう。それによって感情も同じく変わっていってしまう。 当事者たちはお互いにそうなってしまうのはまだ実感として湧かないからこそ、聴いて欲しいと思うし、卒業から年数を経過するごとにグッときてしまう場面が増える歌です。 未だにこれを卒業シーズンに聴くと、じわっとしてしまうし、同じような事があったな、こんな風にしたかったな、共感と後悔を感じてしまいます。 でもね、こういった事を経験して今の自分自身があるって事。 後悔に引きずられてはいけない。 後悔=思い出 いくら涙してもいい。 ただ、今の自分自身にある環境を大事にすること、努力を忘れない事、そして「後悔するくらいの体験が出来た事」に感謝して過ごしていって欲しい。 これから卒業する人、すっかり卒業は過去になってしまった俺みたいな人にも、聞いてもらいたい曲です。
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