第一章 終わりの始まり

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「私はカルロス。この騒ぎでサヴォに討たれたカルロス四世の嫡子で、パロマ侯ということになっている」 「殿下……」  呆れたように言う黒髪の青年をかえりみて、カルロスはさらに続ける。 「彼は私の友人の、ホセ。ここに来るまで、ずっと私を助けてくれたんだ」  それを聞いて、バルは短く口笛を吹いた。 「じゃ、カルロスにホセ、俺の小屋はお屋敷とは比べ物にならないくらいちっぽけだけど、我慢してくれないか?」  その言葉が終わると同時に、視界が開けた。  眼下に広がる村の中央広場には、すでにサヴォの国旗が翻っていた。      ※  二人の客人に気を使ったのか、バルは人目を避けるように村へ入り、『小屋』と呼んだ自分の家へと駆け込んだ。  カルロスを寝台の上に降ろすと、装備を解いたらどうだと促した。 「ま、俺が信用できないならそのままでも構わないけど」  心の内を読まれ返答に窮するホセとは対象的に、カルロスは穏やかに笑いながら自らの甲冑に手をかけた。  主の様子に、ホセも不承不承武装を解く。  両者とも思いのほか多くの傷を負っているようで、服は所々血が滲んでいた。
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