第一章 終わりの始まり

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 短いが、はっきりとした返答を確認してから、ホセは中に足を踏み入れる。  そこには、彼とさして変わらぬ年代の、やはり甲冑に身を固めた青年が虚空をみつめたたずんでいた。 「……さすがの貴方でも、決戦を前にすると緊張するんですね」  ホセに声をかけられると、青年はわずかに顔を上げ苦笑を浮かべた。  青い瞳にはいたずらっぽい光が宿り、短く切りそろえられた淡い色の髪が揺れる。 「戦うことは、怖くない。負ければすべてが終わるだけだ。けど……」 「けれど?」  わずかに首をかしげるホセ。  対して青年は、再び虚空をみつめる。  そして、ためらいがちに口を開いた。 「俺が王都に入っても、皆は俺を認めてくれるだろうか。皆が待ってるのは、カルロスだ。でも……」  ひと度、青年は言葉を切り目を閉じた。 「あいつ……カルロスは、もういない……」  両者の間に、重苦しい空気が流れる。  だが、ホセは常と変わらぬ穏やかな口調でそれを遮った。 「皆を守り助けたいと願う気持ちは、殿下も貴方も一緒でしょう? だからこそ殿下は貴方にすべてを託した。違いますか、バル?」
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