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バルと呼ばれた青年は、持っていた剣の束を強く握りしめた。
天幕を打つ雨の音が、やや強くなる。
「これでケリをつける。……力を貸してくれるか?」
「今更バルらしくもない。貴方の流儀でやってください」
その言葉を待っていたかのように、バルは勢い良く立ち上がった。
「……日没と同時に出る。雨がやむまでに、できる限り敵陣に近付きたい。後は……」
「日の出と共に、その後背を撃つ」
図らずも意見が一致し、二人は互いに笑いあった。
程なくして、陣中に全軍出立の号令が響きわたった。
……後世、解放王もしくは武王の異名で称えられるバルトロメオ一世がサヴォの手からフエナシエラ王都ラベナを回復し、正式に即位したのはこの直後のことである。
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