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バルはしばし無言で二人を見つめていたが、部屋の片隅にある戸棚を指さした。
「そこに服が入ってる。粗末で申し訳ないけど、適当に見繕って着替えてくれて構わない」
そして、ちょっと水を汲んでくる、と言い残すと部屋を後にした。
※
中央広場にある水場には、街で見たあの立札が設置されている。
バルはつまらなそうにそれを見つめていたが、ややあって桶を泉に放り込む。
その時だった。
「無事だったのですか、フェダル? 帰りが遅かったので心配していたんですよ」
背後から声をかけられて、バルは大きくため息をついてから振り返る。
「……長老、俺はもう子どもじゃないって」
「ですが……」
長老と呼ばれた男性は、やれやれとでも言いたげな顔で立札に視線を向ける。
そして、重い口を開いた。
「明日の正午に村人全員ここに集まれと、サヴォ側のお達しです。くれぐれも……」
「俺達村人は関係ないだろ? 俺は難しい話をされてもわからないし」
「そうとも言えないのです。いらっしゃるのは……」
※
「どうしたんだい? 顔色が優れないじゃないか」
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