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友達の健ちゃんとその日、買い物をしに大通りにやって来た。
横断歩道を渡る人たちを見るとまるで巨大なテトリスみたいだと健ちゃんは言うので、
自分は、
『あの真ん中に赤い服をはさんだ青い服の人とその赤い服の人の隣の青い服の人はそろったら消えるね』
そう言った。
信号が青に変わり、歩き出すと青い服の人が並んだ瞬間、
警戒なゲーム音が鳴り青い服を着た二人は消えた。
行き交う人が次々に、消えていく。
同じ服の人がそろうとピロリロという間抜けな音がして地面に沈むように消えるのだ。
これは、面白い。
ずっとその景色を見ていたかったが、急いでいたので横断歩道を渡り、つぎの交差点に来た。
すると、今度はみんな違う色の服を着た人たちが並んでいる。
しかし、健ちゃんはあることに気づいた。
『あの人は買い物袋を持ってる主婦だから斜め右前にいるあの人と同じだ』
その二人がそろうと、二人は丁寧に挨拶をして消えていく。
『さすが主婦、挨拶がお上手なこと』
その隣にいるのは自分の母さん。
そのずっと後ろにいるのが健ちゃんの母さん。
二人がそろったら、消えてしまう。
どうしようか…
いいことを思い付いた。
二人の間に自分たちが、並べばいい。
早速、二人の間に並ぼうとすると二人は別々の方へと行ってしまう。
助かった。
そもそも僕らが並んだら僕らが消えてしまうじゃないか。
僕らも同じだということをすっかり忘れていた。
つぎのゲームはなんだろう…
と思ったがそこで自分の家に着いてしまう。
健ちゃんとはそこで別れた。
やがて夕飯の時間になり、
席に着く。
席に着いた瞬間、
四人家族がいただきますというや否やそれを合図にしたように、消えた。
その日、街にいるほとんどの家族は、世界から忽然と姿を消した。
電気が消えた街に、朝が来ても夜と変わらず真っ暗だ。
そして再び街に夜が来て、
その日は、惑星直列で土星、海王星、木星、火星、天王星、金星、水星が一列に並んだ。
そして世界から、太陽を含めた9つの惑星がきれいさっぱり消えた。
世界がまた白紙のページに戻ったように。
蚊の鳴く音さえ聴こえない。
その日は百年に一度の惑星直列の日だった。
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