秋の候

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秋の候

 ふと、思い立って、俳句を作りました。  時は令和四年、十月六日。  先ずは、一句。  秋の夜に 微かに響く コオロギや。  続いて、お亡くなりになった元宰相殿へ、  別れをば 花に託して ささ涙。  山査子の 赤い実がなる 月の下。    寒に入る じわりじわりと 雨が降る。  吹風に ふと感じ入る 秋の虫。  雨上がり 空を見上げて 星数え。  秋分過 南風吹く 昼下り。  押し並べて 平和なるかな 我国は。  朝早く ひぐらしの声 聞こえけり。  朝ぼらけ 静けさ沁みる 休日の。  夕涼み 窓から覗く 植木鉢。  雨が降り じわりじわりと 寒がいる。  朝夕に 寒さ応える 手水鉢。  夕暮れの ふと仰ぎ見る 一番星。  季節に関係なく、恋の歌を一首。  古の 歌人多く 詠みけるは、 儚きものを 恋と言うらむ。  もう一つ、  古の 歌人曰く 読み上げん、 愛し愛しと 歌う男子を。  更に、  古の 歌人多く 歌わんと、 恋と申せし 憐れを見せん。  さて、今日の一句。  秋空に 似合う花をば 探しけれ。  悲しくて やりきれない程 悲しくて。  今日という 日は昨日と明日 挟まれて。   朝ぼらけ 静けさ沁みる 休日の。   休日を 植木にかける 日曜日。  新しき 苗を植えたる 植木鉢。  風立ちぬ コオロギ達の 恋談義。  薄暗き 秋分過ぎの 朝の5時。  夜明け前 星が流れる 西の空。  中秋の 流れる雲に 銀の月。  吹く風が 肌を貫く 彼岸過ぎ。  秋風に 揺れるススキが 裸ん坊。  明け方の 一番星が 凛として。  うす暗き 朝に目覚める 霜月の。  夕暮れの 吹く風妙に 身に沁みて。  シュウシュウと 降る雨わりと うすら寒。  肌寒い 寒気を運ぶ 秋の雨。  庭先の 手水鉢にも 露光る。  金魚鉢 覗き込む子の 尻青さ。  朝陽射す ベランダ桜 色付きて。  今日がまだ 静かなうちは 眠りなる。  今日はまだ 明けぬる刻を 数えつつ。  寒き夜 ストーブ点けるか 点けまいか。  天高く 俺等も肥る 秋の空。  焼き芋の 薫りが鼻を 擽りす。  天皇賞(秋) 一番違いで 大敗北!  大穴を 一番違いで 逃しいる。  甘い夢 見てんじゃねえよと パイセンが。  朝起きて ヒートテックが 恋しくて。  ジャケットの 下に着込むか ババシャツか?    休日の 朝に微睡み マッタリと。  休日に 早起きをして 庭いじり。  霜月は 意外に花の さかり也。  俯きて 匂いも立てず 楚々として。  終秋の 風を貫く 落ち葉かな。  紅葉を 嬲る北風 面憎い。  ナナカマド 散りぬる風情 燃え尽きん。  秋の晴れ 今こそ行かん 紅葉山。  秋の晴れ間にただ一人、ぽつんと紅葉を眺めに行く。嗚呼良い日和だ。  かさかさと 音を立てるか スズカケの  大胆に バッサリと裁つ 街路樹や。  秋の日の 手入れを待つか 桜葉の。  雨が降る 空を見上げる 手に如雨露。  小鳥達 落とす草の実 実る秋。  強き風 揺れる紅葉 漏れる日差し。  日の入りが、五時前になる 霜月の。  朝日には 輝くような 花を差し。  吐く息が 白く煙るか 初霜か。  休日に する事も無く 茶を啜る。  降る雨に 寒さ輪をかけ 罷り通る!  イチゴ咲く 冬の足音 ヒタヒタと。  明け前の 空気の冷たさ 心地よい。  前の日に シコタマ呑んで 朝辛い。  どんな目に 逢おうが何も 関係無い!  嬲る風 額の汗が 蒸れて候。  強く吹く 季節外れの 南風。  
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