堕天の魔導師

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「おい。こいつ賢者のくせに馬鹿らしいぜ」 「まったく。大丈夫かよ」  目を丸くしていると、すぐに罵倒された。酷い。いや、馬鹿なのは事実なのだけど。しかし、一応はちゃんと試験に通ったのだ。お前らよりは頭は良い。三浪したけど。と、ラグランスの胸の内は複雑だった。 「おいおい。何も知らずに迷い込んだんだったら、このまま通り抜けてくれれば見なかったことにしてやるよ」 「そうそう。馬鹿をいたぶるのはかわいそうだからな」  がははっと、男たちは笑いながら絶好調に馬鹿にしてくれる。さすがに腹立ち具合が限界に来て、つい右手に力を込めて魔法を使いそうになった時―― 「おいおい、こんなところにいたのかよ。探したぜ。その方は私の友人なんですよ。すみません、はぐれてしまったようで」  と、爽やかな声がして、ばんばんっとラグランスの肩を叩く奴がいた。 「え?」 「そのまま黙って」  再び目を丸くするラグランスに、神父服を着た気さくな男は、話を合わせろと合図してきた。どうやら助けに入ってくれたらしい。さすがは同士。
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