堕天の魔導師

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 いや、同士という気分はその姿を見て消えてしまった。それもそのはず、助けてくれたのは何とも胡散臭い神父だった。何だか軽薄そうな感じがあるし、何より神父服を着崩している。真面目にやっているように見えなかった。ピアスもしてるし、髭も生えてるし、何なんだ、こいつ。年齢は二十一のラグランスより上な感じ。三十代だろうか。  けれども、町の不良たちはこの神父を知っているようで、なんだそういうことかと、納得している。 「トムソンさん。友人は選んだ方がいいぜ。こいつ魔導師らしいけど馬鹿だぜ」 「――」  本人目の前に指摘すんなと、ラグランスはぶるぶると震えそうになる。が、神父がまた肩をばんばんっと叩いてきたせいで、それどころではない。 「そうだろう。馬鹿なんだよ。そういうところがいいんだって。ほら、賢者様なんて堅苦しい奴ばっかなのに、こいつには堅苦しさなんてないだろ。ゼロだよゼロ。そこがいいんじゃないか」 「ああ、たしかに」
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