堕天の魔導師

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 紹介されたラピスは、ふんっと鼻を鳴らす。ま、そんなことをやっても可愛らしさが損なわれないのだから、かなりの美人なのだ。いや、美少女なのだ。 「それで、魔導師なのは見た目で解るわよ。どんな馬鹿でも魔導師詐欺なんてやんないから。やったらどんな目に遭うか解らないものね。大昔にあった事例では、そいつは丸裸にされた上に火あぶりにされたんだったっけ。で、何しに来たの? 私たちは吸血鬼と運命共同体でやってんのよ。下手に刺激して食われたくないの」  そんなラピスが言った言葉が、ラグランスの胸にずどんっと刺さる。魔導師詐欺の人物の末路は横に置いておいて、食べられたくない。その言葉が非常に重かった。  そう、吸血鬼は人間を捕食する。その名前の通りに血を飲むわけだが、ついでに肉を食らうこともある。それが特徴だ。そして、人間を食らうことで能力が格段に上がる。つまり、能力のためにも人間を食らい続ける。まさに本能のままに行動する生き物だ。  これは、マクスウェルを密かに観察して得られた情報、らしい。若干どころかかなり不確かな情報が入っていることは、町の状況の乖離を思えば解る。が、食べるのは事実だ。
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