堕天の魔導師

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 同級生だったという言葉に、トムソンはオーバーに驚く。なるほど、それで若くして魔導師になろうと思ったのかと、ようやく納得した。神に仕える者の最高位であり、賢者という別称があるせいか、魔導師を目指す平均年齢は四十歳前後だと言われている。マクスウェルにしてもラグランスにしても、魔導師になるには早すぎる。 「マクスウェルは、史上最年少で魔導師になったんだ。まあ、知ってるよね?」  ラグランスの確認に、ラピスは大きく頷いた。 「稀に見る天才。真の賢者。そう呼ばれていたそうね。だからこそ、吸血鬼になった彼は完璧だ。それが、この町での認識」 「え?」  吸血鬼であるマクスウェルは完璧。その言葉に驚かずにはいられない。いや、この町が普通だったことを考えれば、恐怖で押さえつけているだけではないことは解るが。
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