堕天の魔導師

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「そういうことだ。マクスウェルはここの住民に対して、紳士的な態度と魔導師としての態度で臨んでいる。王朝ではどう言われているか知らないけどね。マクスウェルは理由もなしに町に手出ししたりしない。まあ、今では王朝が食料を供給してくれるから、手出しする必要はないだけかもしれないけどな。でも、その前からむやみやたらと食い殺すなんてことはしてないんだ」 「そ、そうなんですか?」  何だかイメージと違う。というのは、ラグランスが吸血行動を見ているせいだろう。あの恐ろしい場面が頭に焼き付いていて、いつでもどこでも本能のままに振る舞っているのだと思ってしまっていた。 「吸血鬼となってしまった以上、夜しか活動できないけどね。でも、彼は今も魔導師であり賢者なんだよ。ちゃんとその職務を全うしている。人々の安寧を第一に考えているんだ。だから、俺たちは彼の力に頼って生きている。ただ、吸血行動は彼にとって必要不可欠だ。血を飲まないと死んでしまう。それに、日の光を浴びても死んでしまう。そういう生き物になってしまったわけだな」
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