堕天の魔導師

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 さすが地元民。トムソンの説明は非常に解りやすかった。しかも、今も魔導師として活躍している。これは意外だった。神の道理から外れたというのに、神の力を行使しているのか。 「この町に来た当初、彼は基本的には、罪を犯した者を食らうことにしていた。町としても、そのルールは非常に解りやすいから、彼の食料になることは同意出来るからね。しかし、中にはこの子のように反発する人もいる。それはそうだよな。俺たちとは別の生き物で、俺たちを食う。それは消せない事実だ。しかも、一時は小さな罪を犯した者でも食料になっていたからさ」 「ああ」  そうか。いくら罪人だけに限ってみたところで、絶対量が足りなかったんだとラグランスは気づく。それはそれで、些細な罪さえ犯せないという恐怖を植え付けることになる。 「どうやらマクスウェルは一ヶ月で十人ほどの血が必要みたいだからな。王朝も、ちょっと多めに渡してきてるだろ?」 「ええ。確か二十人でしたかね」
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