堕天の魔導師

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 寝起きの身支度を手伝いながら、マリーが伺ってくる。今日はどうしようか。それはその日の体調で決めることになっていた。町中で空腹となり、町人を襲ってしまわないようにとの配慮からだ。 「そうだな。色々と相談事も受けているから、町に行く必要はある。しかし、食事にしよう。その後で時間があるようならば考える」 「解りました」  マリーはこくりと頷くと、そのまま下がってどこかに行ってしまった。おそらく食事の準備に行ったのだろう。見た目は少女だが、吸血鬼となった今は怪力の持ち主だ。献上された食料を取り押さえることくらい、難なくこなす。 「――」  しかし、マクスウェルは食事の度に気分が悪くなる。いや、食べている間は夢中だから気づかないし、食料になる人間は美味しい。それは間違いないのだが、こうやって残っている理性が働き出すと、自己嫌悪に陥ってしまう。  神に背けば吸血鬼になる。これには続きがあったのだ。そして永遠と、神からの罰を受け続ける。
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