堕天の魔導師

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 商店が立ち並び、行き交う人々は普通に生活している。極端に痩せているなんてことはない。非常に健康そうだ。強盗が頻発している様子もなく、お店は普通に営業中。そこに並ぶ品物はどれも新鮮そのものであったり最新のものであったりと、ここが取り残されているようには見えない。  そう、どこをどう取っても普通。町の奥にみえる古城、打ち捨てられていた城を今は吸血鬼となったマクスウェルが使っているのだが、そこを畏怖して生きている感じにはどうにも見えない。まるでここに堕天した神父なんていないかのようだ。 「いや、それは違うか」  しかし、町を歩き始めて気づくことがあった。誰もが、自分に対して敵意を持った目を向けてくるということだ。
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