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二人から「金がない」と聞くのは確かにもう何度目かはわからないほど。
僕は創一にも竜にもたぶん同じくらいお金を貸している。
バイトはしているものの、ほとんど使い道のない僕はバイト代はただ貯まっていくだけだったから。
でも、竜はさっきまでお金を「貸して」と迫られていたのになぜ?いつの間に?
「俺も竜も金ないんだよ!」
「知ってる」
頷くと、創一は竜の横に移動して竜と肩を組んだ。
「だから、俺らはもう泥棒するしかねぇって思うんだ!」
「はぁ?」
本当、バカの考えは理解ができない。
「俺さぁ!来週までに百万要るんだよ!そんなん泥棒するしかないだろ?」
創一の目は真剣だが言っていることはめちゃくちゃだ。
「普通に働いたって無理だし!ホストとか夜稼げるような顔でもねぇし!」
創一なりに一応考えたらしいが、なぜそんなに選択肢が少ないのか。
「だから、泥棒しかないだろ?コンビニ強盗とかはカメラあってすぐ捕まるし、銀行なんてもっと無理だ!だから、空き巣ってあるじゃん!そんな感じの泥棒!」
そんな感じなんかでやれる訳はないだろうが、
「すっげぇなぁ!!めっちゃ考えられてんじゃん!」
単純な竜がキラキラと目を輝かせていて、僕は呆れを通り越して感心する。
「でも、俺も竜もアホじゃん!」
「まぁな……」
自覚しているだけマシなのか?どうなのか。
「だから、一太!お前も手伝って!」
「だなっ!!」
期待に満ちた目で見られて、
「……わかった」
僕はため息混じりで頷いた。
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