42. 竜姫人 VS 赤鬼

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「待たせたわね、デカブツ」 「あ"っ、また新手の奴が現れたグマグマグマグマグマ」 「新手? 違うわよ。ホンの数分前までアンタと戦闘を交えていた相手よ」  えっ?  いやエルジュ、流石に数分では無いかと。  いや、俺はあんなに戦闘をあの赤鬼と繰り広げていた感覚だったのに、あの戦闘はたったの数分だったのか? 「刻宗、俺の戦闘って何分間?」 「15分いや10分、いや5分くらいだったような~~」 「はっ、どっちだよ!?」 「そんなん戦闘に集中してて覚えてるわけないやろ」 「普通覚えてるだろ!?」 「普通覚えてる言うなら、わいに聞かんでもええやろ自分」 「うっ……相手に攻撃することと、相手の攻撃を回避するのに必死で覚えておりません……」 「ほら、わいの言うた通りや。自分も覚えてへんのやないかい!? せやのになんでわいは責められなあかんねん」 「すいませんでした刻宗の旦那。もう数分でいいです。受け入れました」 「ちっ、ほんま調子ええのぉ……わいが一つ言えることは、守お前のスピードは大分向上しとる。せやさかい、物凄く動いたとしても、そりゃ一瞬の出来事や。時間の感覚なんて人それぞれや」  確かに刻宗の言う通りかもしれない。つまらない作業をしてる場合、例えば勉強とか物凄くやったつもりでも五分しか経っていないこともある。逆に言えばデートとかの楽しい時間を過ごしている場合、あっという間に時間が過ぎてるって聞いたことがある。  そう、デートなんて俺には経験無いけれども……。 「ちょくしょー死ぬ前にデートしたかった。これがデートだったらどんなにいいだろう」 「なにをブツブツと分けのわからないこと言ってるのよ守!?」 (うっ、なんか心の声が漏れたみたいだ) 「いや、エルジュ……え~~と、今日は天気がいいですね」  って、なんで俺はデート中に言ってはいけないセリフを口にしてんだ。  しかもデート中に使っては行けない第一位!? 「はっ? あんた脳みそ腐ってるのにさらに腐って発酵してんじゃないの」  ぬおっ、良く次から次へとこうも酷い言葉を思いつくし連発できんな。 「あのな~~いくらなんでも……手?」 「掴まって、高く飛ぶから。私の動きに合わせて、いい」 「分かっ……た」  彼女の手を握り締めたら、さっきの言い換えそうと思った言葉がいつの間にか消えていた。
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