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「って、あれ? 俺無傷だ」
「なんてね。仲間のあんたに向けるわけないじゃない。やっぱ馬鹿でしょあんた、それより効果あったみたいね」
シュタッ
うわっ、赤鬼の身体半分が無い。ドラゴニアショット、どんだけの威力だよ。ショットじゃないでしょ、バズーカとかトマホークとかいずれも砲台クラスだと思うのですが。
漫画なら、ここで超再生とか言って回復するんだろうな。でも、多分そうはならないだろう。俺はこの世界に来て、色んなモンスターと戦闘を経験してきた。っていってもまだ半年も満たないけどな。
だが、この世界の生物で共通して言えることがある。
それは、半身になった生き物が復活する事は無い。
この赤鬼を倒せば、残るは黄色の鬼だけだ。
あの千代子さんとモナなら、あの鬼程度なら問題ないだろう。
でも、多勢に無勢じゃないが、多いに越したことはない。
もうグマグマもふらふらだし、加勢にしに行こう。
「何処に行くの守?」
「えっ、千代子さん達の加勢に」
「はっ? 加勢? 戦闘の途中に何言ってるのよ」
「いや、だってもうグマグマとの戦いは終わっただろ」
「グマグマ? ああ、赤鬼のことね。何言ってるの守、まだよ。この程度で奴が死ぬわけないじゃない」
「いや、でも半……身じゃない……」
どういうことだ。
さっきエルジュの業炎で、身体の半分がバラバラに飛散したはず。
なのに、なんでまだ右腕が生えてるんだ。
「漫画かよ……」
「はっ、漫画? ああ、セシルが読んでる奴ね。って、今は戦闘中よ関係ないじゃない」
「いや、関係なくねーよ。コイツまるで俺が知ってる漫画みてーに、瀕死の重傷だったはずなのに再生する敵にそっくりだ。でもなんで……回復魔法を使った形跡もないのに?」
「それはコイツの属性がマグマだからよ。さっきも言ったけど、コイツは地に足を着けている限り、大地から永久に恩恵を受けるのよ」
マジか、敵側でチートって、そんなのありかよ。
普通チートって言ったら、主人公のこの俺の特権じゃないの?
いや、異世界に来たからって俺が主人公かどうかは知らんけど。
それにしてもあんなに大ダメージを与えたにも関わらず復活するだなんて、いったいどうやったらコイツを倒すことが出来るんだ。
こんな想定外な敵、流石にエルジュも相当なショックを受けているに違いない。
「エルジュ?」
「ん、なに?」
「いや、どうしてそんなに頬が緩んでるんだ?」
「えっ、だってコイツの攻略法が分かったからに決まってるじゃない」
「攻略法?」
「そっ、攻略法」
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