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以前からアプローチをかけていた某主婦向けの雑誌『HOME+@』。衣食住のテーマに沿ってランキング形式で商品を紹介しているのだが、良い点も悪い点も的確に指摘し、価格やコスパ、パッケージのデザインや機能性まで吟味しているのが面白い。
何より、この雑誌でランクインした商品は、例外なく売上がアップする。
我が社の商品も収納用品、インテリアで時々ランクインしていたのだが、比較的安価な商品ばかりだった。
そこで、私はこの雑誌で家具を取り上げてほしいと売り込んだ。
年末号の別冊付録一冊まるごとトーウン。
「他社と比較するのではなく、シーンに合わせてお勧めの商品をランキングで――」
配った資料とHOME+@の既刊号を読み進めながら私の話に耳を傾ける出席者は、平井さん、山倉さん、営業一課長の沖さん、営業一課の宇梶さん、開発部の真舘さん。そして、ろくに資料も読まず、真剣に私の話を聞くでもなく、自分の髪を指に巻き付けて遊んでいるのが、林海きらり。
皇丞は、CM制作を依頼している会社からの呼び出しで欠席。
「――年末号の付録ではありますが、新年度を意識した単身者向けの家具も――」
営業と開発が同席しているのは、ランク付けに必要な情報を得るためと、ランクインした商品の営業活動のため。
「――SNSでアンケートを集め、一般購入者の感想や要望を取り入れ、次の開発に役立てる意図もあり――」
皇丞に聞いてもらえないのが残念だけれど、今朝は「頑張れ」とキスをくれた。
あのデートの日から皇丞は、キスまでは良し、と勝手に決めた。
一応、なし崩し的に私を揺るがさないよう、彼なりのけじめとして、一緒に暮らしても我慢していたらしい。
それが、デートの夜に私がキスを拒まなかったことで、なし崩しもありかと思えたそう。
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