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「ある芸能プロダクションの社長にお願いしてあります」
……はい?
お願いしてどうにかなるものなのか。
「あ、知り合いなんです。なので、所属俳優にお仕事をお願いしたいって言っておきました」
「林海さん。起用する俳優はあなた一人では決められませんよ? そのプロダクションの俳優以外で決まったらどうするんですか?」
「時間もないですし、そのプロダクションから選べばいいと思います」
ソウデスカ……。
「た、例えばどんな俳優がいるプロダクションなのかな?」
沖課長が、今日初めて声を発した。
本当は黙っていたかっただろうに、専務からの圧でも感じたのか。
「ムーンライズプロダクションってところなんですけど、佐〇健や菅田〇暉や反〇隆史が所属してるんですって! あと、岩田〇典も!」
…………いや。
芸能界や今時の俳優に疎い私でもわかる。
今言った四人が同じ事務所なわけがない。
皇丞がスマホを取り出し、検索する。
「ムーンライズプロダクションという事務所は出てきませんけど」
「え!? あれ? 聞き間違えたんですかね」
ですかね、じゃないでしょう。
「今言った四人も同じ事務所ではないようですけど」
「え……?」
きらりが慌ててスマホを取り出す。
「でも! 名刺をもらったんです」
「その名刺は?」
「今は持ってないんですけど、連絡先はわかってます。昨日も会ってお願いしたんです」
え……?
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