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新たな一石
こうして「朝にはごはんを食べなければならない」という風潮は、お米由来のパンの登場で終息していくことになった。
一番の決め手は、米粉パンと小麦パンの違いが明確に分からないことだった。
つまり、小麦パンを食べていても、米粉パンだと言い張れば誤魔化せてしまうほど、その違いは分からなかった。
そうなると次第に、米粉でも小麦でも、どうでもよくなってくる。
そして、使われている小麦が国産でも輸入品でも、誰も話題にしたりはしない。
こうして、朝食にごはんを食べようがパンを食べようが問題とされることはなくなっていった。
そもそも朝に誰が何を食べようが、何も問題はないし、誰も気にしてなどいないのである。
しかし、それで済ませたくない人たちが世の中にはいる。
一番最初に一石を投じたマスコミである。
彼らは政権を叩くためなら何でもよい。以前と真逆の論説だろうが、非科学的な理論だろうが、法的に問題があろうがなかろうが、とにかくセンセーショナルに批判できる材料があれば、何でもよいのである。
そうすれば後は、多くの正義感の強い血気盛んな人々が、勝手に大騒ぎして踊ってくれる。
「今度の新しい総理は、いつも朝ごはんを食べない人だそうだ。だから、朝ごはんを食べないのはけしからんという論調でいく」
「わかりました」
こうして新たな一石は投じられていくのだった。
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