朝食には〇〇を

拡散していく空気

　朝食にはごはんを食べなければならない。
　そんな明確な根拠もなく突然生まれた空気は、政界から芸能界にも広がっていた。

「あの超人気アイドルの◯◯さんが朝にパンを食べていた！」と週刊誌にスッパ抜かれては謝罪に追い込まれたり、カメラの前で涙を流しながら「もう朝はごはんしか食べません」と宣言する若手タレントがいたり、「俺は朝ラーメンにごはんを入れて食べているから問題ないだろう！」と激怒する大物芸能人などがいた。

　SNSでは、いつの間にか著名人が毎朝ごはんの写真をアップするのが日課になり、マスコミがそれを監視し、多くの国民がそれを見守るようになっていった。