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「もちろん。美春はこの寺で育ったおばあちゃんっ子のおりこうさんですよ?おばあちゃんは大船に乗ったつもりでみなさんのもてなしだけに専念していてくださいませ」
いつもよりかなりはしゃいでいる美春の言葉だが、ばあちゃんはその言葉に嘘はないと信じることにしたようだった。
「わかった」
ばあちゃんは覚悟を決めたかのようにしっかりと頷いた。
その横顔はどこか悲しそうに見えたが、それがなぜかは見当もつかなかった。
「さすがは美春のおばあちゃんです」
美春は満足げに、えらいえらいと頭を撫ぜるふりをしている。
調子が狂うほど明るい美春の様子に何か強い違和感を感じたが、それがなぜなのかはまったくわからなかった。
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