さよならは 言わないで

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 寺の山門をくぐったのは、いよいよ彼らに追いつかれる直前だった。  かろうじて自転車から降りることに成功したがばあちゃんの姿は見えず、押しつぶされるような圧迫感に冷汗が止まらず膝をついた。  意識がもうろうとしてきて、いよいよ死ぬのではと思ったその時、遠くから異様に明るいハイテンションな声が聞こえてきた。 「すとーっぷ!」  声の勢いに圧倒されたのかもしれない。  彼らはぴたりと止まり声の主の方を振り返った。  彼らの動きを変えたのは美春だと姿を見ずともわかる。  こんなに近くで声を聞いたのはいつぶりだろうか?  のしかかるような重さはすぐに消えたが、肺に吸い込みすぎた空気が押し寄せてきて上手く呼吸ができない。  むせかえる俺は必死で呼吸を整えながら美春の姿を探すが、逆光な上にその姿はまだ遠い。
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