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1.
僕が結菜と初めて会ったのは、小学3年生の時。
結菜の家族が近所の新築の家に引っ越して、お母さんと一緒に僕の家にあいさつに来た。
つまり、結菜は転校生。
「奏太君、洋太君は双子の兄弟なんだね。同学年だから遊んでやってね」
恥ずかしがり屋なのか、結菜はお母さんの後ろでモジモジしている。
「うん。学校が終わった後、遊ぼうね」
奏太が話しかけた。
「ほら、ごあいさつは?」
結菜は一歩前に出る。
「よろしくお願いします」
ぎこちなく頭を下げると、花柄のワンピースと肩まで伸びた髪がサラサラと動いた。
少しぽっちゃりとした、おとなしい女の子というのが第一印象だった。
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