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   紳士協定を結んだからには、奏太は恋敵、ライバルなのだ。  これまでのような敬愛の念を持ってはダメだ。  性格は違っても、双子の頭脳はそんなに変わらないはずである。  僕は奏太に追いつくべく、本格的な受験勉強を早めに始めることにした。  まずは、志望大学に合格すること。それも奏太が目指しそうな大学と同格の大学に合格することが先決だ。  それが今、とりたてて取り柄のない僕が奏太と張り合える唯一の方法なのだ。  勉強のモチベーションはもちろん、結菜。と言いたいが、実のところ、邪念が沸いてしまう。  だから、『(結菜に)モテたい』を掲げることにした。  受験勉強は辛い。  そこで僕は生物クラブ随一の秀才である先輩直伝の方法を始めた。  自らを機械化すること。つまりロボットになるのだ。勉強マシーンである。  家では食事とトイレと睡眠以外のすべての時間を勉強に捧げる。  ロボットだから、感情は無である。唯一持っていい人間の感情は『モテたい』だけ。辛いとか苦しいとか思わないようにする。自らを自動化して、ひたすら問題を解くのだ。  『(結菜に)モテたい』  この一心、一点のモチベーションだけで、こんなにも勉強がはかどるとは夢にも思わなかった。
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