5.

4/5

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
 後日、奏太の浮気は結菜の思い込みだったということで、今は仲良くしている、と結菜から連絡があった。  あの時、自分を少し推せば良かったのだろうか。  でもそれは違う、彼女の判断に任せるのが一番大切だ、と思うことにしている。  テーブルの上にまだリンゴが2個ある。  皮をむいて、一口かじる。  そして、あの日のことをありありと思い出す。  もし奏太が浮気していていたら、僕が付き合えたのか?  いや、それはない。奏太の性格からして、結菜を失うようなヘマは決してしないからだ。  今になって思う。  結菜は、奏太の浮気疑惑を口実にして、僕に会いに来たのではないかと。  本当に迷っていたんだ、あいつと僕の狭間で。それがたとえ一時(いっとき)だとしても…  そして、やはり収まるところに収まった…  あの日以来、僕らは会っていない。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加