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2.
中学の頃から、僕と奏太は、一卵性双生児なのに性格が違ってきた。
奏太は、何というか、社交的で協調性がある。
僕は皆でワイワイするのは好きだが、一人の時間も同じぐらい好きだ。
だから、部活も個人競技の水泳部。スジは良いけど本番に弱く、大会の試合になると負けるから、部内でも上位に行けない情けないパターンに陥っている。
サッカー部で活躍している奏太が眩しかった。
文武両道に優れているから、とてもモテる。
おかげで、バレンタインデーには、僕の周辺まで騒がしい。
「あの、これ受け取ってください」
「は?はあ」
その見知らぬ女子は走り去った。
一瞬期待するが、中身を見ては奏太と間違えられたことに気づき落胆。家に持ち帰って、手渡すのも気まずいから、奏太の机の上にそっと置いておく。
こんなことが毎年ある。
だが、僕は卑屈な奴にならずにすんだ。
奏太が僕を気遣ってるのかわからないけど、バレンタインデーの話を家族や友達に一切しないから。
それに、女友達が多かったけど、勉強の妨げになるからって、彼女は作らない。それがかえって、モテに拍車を掛けていたけどね。
バレンタインデーの夜も、食卓の彼はいつもと同じようにご飯を平らげながら、サッカーの話などをしている。僕はいつもより口数が少ないけど。
だから、両親は今日が何の日かを忘れているようだ。
僕はこんな冷静沈着な彼の態度を惚れ惚れしながら眺めている。そして、尊敬する。モテ自慢しないなんて、本当によくできた人間だと思う。
僕だったら、どうだろう。でもその前に、前提条件として、モテる経験をしてない…。卑屈にはなってないけど…やっぱりモテるのは羨ましい。チョコレート何個もらったとか、僕はたぶんモテ自慢してしまうだろうな。
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