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   キーン コーン カーン コーン 「やべ。チャイムだ。急げ」  僕はダッシュした。  結菜も後に続く。 「部活で鍛えてるから、へっちゃらよ」  廊下に来たころにはさすがに二人とも息切れしている。 「あー良かった。まだ担任来てない。じゃな」 「うん」  クラスが別々なので、ここで僕は教室に飛び込む。 「セーフ」  僕は自分の席に滑り込んで座った。 「あー、ダル」  少し離れた席で、仲良しの木村がその様子をジッと見つめていた。  1限目が終わると、木村がやってきた。 「おい、おまえ、あいつと付き合ってるのか? 他の奴らも噂してたぜ」 「あいつって?あ、結菜か。まさか。家が近所だからたまたま一緒になっただけだよ」 「登下校一緒のところを時々見るからさ、てっきりそうかなと思って」 「あー、まあ、小学校の時の延長かな。奏太も時々あいつと帰ってるよ」 「それはそれは。双子だから気づかなかったな」 木村はそう言って、(うなず)きながら意味ありげな笑いを浮かべた。 「なんだよ」 「おまえら、将来、あいつの取り合いになったりして」 「は? それはないない。僕はあいつのことなんとも思ってないし」 「そうか?」  僕はモヤモヤした。鋭い木村に言われると何だか嫌な気持ちがして、心の中でも必死で否定した。  ソフトボール部らしいズングリな体型。茶色に日焼けした肌とスポーツカットのショートヘア。男勝りの性格。  あいつに恋心? ないない。単なる幼なじみだよ。
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