2.

3/3

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
   3年生になると、教室の雰囲気も変わって、ピリピリしたものを感じるようになっていった。  帰り、少し前方に、結菜が歩いているのが見える。  途中で友達と別れたので、走って結菜に追いついた。 「おっす」 「あ、洋太」 「あれ?最近、日焼けがとれてきたな」 「そうだね。部活引退して、しばらく外で運動してないから」 「そっか。僕もだ」 「洋太は受験する高校決めた?」 「まだ具体的には。理系に力入れてる高校にしようかなと。結菜は?」 「私はB高校かな。自由な校風だし、制服がかわいいから」 「へー、制服のことも考えるんだ」 「もちろんよ。奏太のは知ってる?」 「いや、この前聞いたら、まだ決めてないって言ってた」  そういえば、あいつどこの高校に行くんだろ。 「じゃあ、教えてあげる。H高」 「へー、都立トップ校かよ。内申点良さそうだからな。でもそこまでとは思わなかった」 「ま、奏太は要領がいいからね、昔から」 「うん。僕はどちらかというと、不器用だな」 「洋太はおっとり、だね」 「なるほど、おっとりか。良く言えばそうだね」  気がついたら、家のそばに来ていた。 「じゃあね」 「うん、また」  僕らは高校になったら、バラバラになるんだ。その時実感した。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加