6人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
3年生になると、教室の雰囲気も変わって、ピリピリしたものを感じるようになっていった。
帰り、少し前方に、結菜が歩いているのが見える。
途中で友達と別れたので、走って結菜に追いついた。
「おっす」
「あ、洋太」
「あれ?最近、日焼けがとれてきたな」
「そうだね。部活引退して、しばらく外で運動してないから」
「そっか。僕もだ」
「洋太は受験する高校決めた?」
「まだ具体的には。理系に力入れてる高校にしようかなと。結菜は?」
「私はB高校かな。自由な校風だし、制服がかわいいから」
「へー、制服のことも考えるんだ」
「もちろんよ。奏太のは知ってる?」
「いや、この前聞いたら、まだ決めてないって言ってた」
そういえば、あいつどこの高校に行くんだろ。
「じゃあ、教えてあげる。H高」
「へー、都立トップ校かよ。内申点良さそうだからな。でもそこまでとは思わなかった」
「ま、奏太は要領がいいからね、昔から」
「うん。僕はどちらかというと、不器用だな」
「洋太はおっとり、だね」
「なるほど、おっとりか。良く言えばそうだね」
気がついたら、家のそばに来ていた。
「じゃあね」
「うん、また」
僕らは高校になったら、バラバラになるんだ。その時実感した。
最初のコメントを投稿しよう!