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それは奏太も同じだった。
テレビを見ていたら、奏太が声をかけてきた。
「結菜、きれいになったな」
「そ、そうだね」
僕は無表情を装った。
「俺、思ったんだけど、俺らの間で、紳士協定結ばない?」
「紳士協定?」
「うん、相手を信頼して取り決める約束」
「何を約束するのさ」
「結菜だよ。洋太もそうだろ、ときめいてるの」
「え?」
僕は本当にドキドキした。
「わかるよ、双子だから。俺もだ」
「そ、そっか」
「だから、ここで結ぶのさ、紳士協定。抜け駆けは許さねえってこと。結菜と付き合いたいなら、二人で同時に告白するんだ」
「うーん、付き合うとか考えたことなかったから、実感わかないけど。わかったよ」
「よし、決まり」
「別に抜け駆けしてもいいんだよ」
「だめだ。俺たち双子は正々堂々と勝負するのがいいんだよ」
「そんなもんかなあ。弟に対する思いやりもあるの?」
「それはない。俺たち三人は子どもの頃から一緒だった。だから、三人が揃うところで決着を付けるんだ」
「ふーん」
こんな僕と正々堂々と勝負したい…
僕が高嶺の花と付き合えるとでも思ってるのか?
でも、とにかく奏太に認められたようで嬉しかった。
決定事項:僕は、近い将来、結菜に告白することになった
そんなつもり1ミリもなかったんだけどね。
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