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「こちらインディペンデンス副長ハミルトン大佐。ヴァンガード応答願います。」 アメリカ連合宇宙艦隊の駆逐艦ヴァンガードに、緊急通信が入った。ヴァンガードの艦長、スティーブ・コールマン少将は通信士に頷いた。通信士が応答する。 「こちらヴァンガード。ハミルトン大佐、どうされましたか?」 少し焦ったような声音でハミルトンが答えた。 「現在ロシア帝国同盟の艦隊と交戦中。大統領が乗艦中の飛鳥が狙われているようだ。今すぐ応援を要請する。」 通信士がコールマンの顔を見る。コールマンは彼に頷き、すぐさま機関室に連絡を取った。通信士はハミルトンに「直ぐ向います。」と連絡して通信を切った。 細かい情勢は今の通信では分からなかった。しかしインディペンデンスというと、あのモーガン中将が艦長を務める艦だ。彼が救援を要請するということは、かなり切羽詰っていると思われた。 とりあえず、急いで向わなければ。 ヴァンガードのエンジンが唸りをあげ始める。 「全速前進。」 ヴァンガードは戦闘が行われている宙域に向って発進した。途中、日本の巡洋艦金剛と合流する。やがて2艦は戦闘宙域に到着した。 しかし、そこに敵艦隊の姿はなかった。沢山浮かぶ金属の欠片の向こう、死んだように静かに横たわる空母エンタープライズ。 「エンタープライズに連絡しろ。」 コールマンの声に、通信士が慌てて通信を試みる。 「こちらヴァンガード。エンタープライズ、応答願います。」 エンタープライズからは、応答がない。 「エンタープライズ、こちらヴァンガード。状況を知らせてください。エンタープライズ、応答願います。」 暫しの沈黙。
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