救助

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通信機からモーガンの声で返事があった。 「分かった。レオ。私たちはこれからニコラエフ少佐の捜索に出る。レーダーの方は何か掴めたか?」 「お待ちください。」 顔を上げ、エリックに声をかけた。 「エリック、どうだ。何か分かったか?」 エリックはレオナルドの顔を見て、首を振った。 「まだです。まだ掴めません。」 レオナルドはもう一度通信機に向いた。 「司令官、まだ何処にいるか分からないようです。」 「基地から北のほうを、重点的に捜索してみてくれ。」 フランクリンが口を挟む。 「了解。」 レオナルドはそう答えてエリックに頷いた。レーダーを操作していたエリックが顔を上げた。 「副司令官、見つけました。基地から北に3K地点にレーダーの反応あり。動いていません。」 レオナルドは頷いて、通信機に告げた。 「司令官、見つけました。北に3Kの地点に居るようです。今のところ動き無し。」 「了解。今から作業車で、其方に向かう。」 少しの間。 「レオ、嵐が到達するまで、どのくらいの時間がある?」 レオナルドは腕時計をジッと睨み、通信機に告げた。 「後5分35秒です。」 「そうか。ギリギリだな。よし、フランク、出してくれ。」 レオナルドはギュッと手を握り締めた。 司令官、フランク・・・ 「レオ、嵐が近づくと通信できなくなるかもしれない。」 「分かっています。司令官、どうぞお気をつけて。」 「ありがとう。行って来るよ。」 窓の外を見つめる。作業車が基地から出、全速力で北に向ったのが見えた。 後は時間との競争だ。 ルナでもそうだった。こんな危険なことがあると、必ず司令官が出て行く。そして、時間との競争を、今まで制してきた。今まで制することが出来たといっても、今日できるとは限らない。 まったく・・・・本当に心配ばかりかける。 レオナルドは心で溜息をつき、エリックに向いた。 「エリック、司令官達の作業車を見失わないように。」 「了解。」 司令室に静かな緊張が流れる。その静けさを破るように、エリックの声が響いた。 「副司令官、作業車がニコラエフ少佐と合流しました。」 「嵐到達まで何分だ?」 「2分です。」 「格納庫扉開放。作業車が到着しだい閉鎖するように。」 「了解。格納庫の扉、開放します。」
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