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「副司令官、作業車が入ります。」
エリックの報告にホッと安堵の息を付く。
「よし、格納庫扉閉鎖。」
「格納庫扉閉鎖します。」
レオナルドはバッと立ち上がり、ジェイムズに声をかけた。
「ジェイムズ、後を頼む。」
ジェイムズが答える声を後ろに聞きながら、格納庫に走った。
レオナルドが格納庫に着くと、デミトリがイワンの肩を押さえ揺すっているところだった。イワンの脱いだ宇宙服が、彼の足元で固まっている。
「ニコラエフ少佐、いったい何故、あんな事をしたんですか!」
「デミトリ。」
モーガンがデミトリの腕を静かに押さえた。
「彼にも考えるところがあったのだろう。」
「しかし、しかし、そのお陰で、貴方たちを危険に晒したんですよ。いったい何を考えていたんだ!ロシア艦隊の、それも将校が。」
「まあ、良いじゃないか。誰も傷つかなかったんだから。」
デミトリがイワンの腕を投げるように放した。
「傷つかなかったですって!?冗談じゃない。貴方にもしもの事があったら、それでは済まなかったんですよ。司令官、貴方は甘すぎる。ここはもっと・・・・」
「デミトリ。私の事を心配してくれて、本当にありがとう。しかし此処は、私に任せてくれないだろうか。イワンとは私が話をしよう。どうだろう?」
デミトリは、少しだけ顔を顰め、小さく頷いた。
「分かりました。司令官にお任せします。」
「ありがとう。」
「司令官。」
声をかけられ振り向いた。
「やあ、レオ。」
「お怪我はありませんか?」
モーガンは可笑しげに笑い「たったあれだけの時間で、怪我などする訳がない。」と答えた。
レオナルドは、ちょっとだけ苦笑いのような顔をした。
「まあそうですけど・・・・」
まったくこの人は。自分の立場を分かっているのだろうか。
が、だからこそみんなは彼を信頼して此処にいるのだと、そう思う。
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