それぞれの一歩

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バーバラは落ち込む心を抱えながら、機械室に向っていた。俯いたまま歩いていたので誰かに思い切りぶつかってしまい、思わず尻餅をついた。 「おっと、ごめん、大丈夫だったか?」 目の前に、フランクリンが立っていた。 「あ、マーレイ少佐。すみません。私・・・」 慌てて立ち上がろうとする。 「いや、此方こそ済まなかった。」 フランクリンが差し出した手に、ちょっと頬を赤らめありがとうと呟いて掴った。フランクリンに立たせてもらい、思い切り頭を下げた。 「本当に申し訳ありませんでした。」 「いや、いいさ。」 そういってフランクリンがバーバラの顔を覗きこんだ。 「どうした?妙に顔が暗いぞ?」 バーバラは、焦ったように顔を背け「なんでもありません。」と小さく言った。 フランクリンはちょっとだけ考えていたが、ニッと笑って彼女の顔を見つめた。 「俺と茶でもしばくか?」 「え?」 「お前、これからの勤務は?」 「機械室で・・・・」 「よし、俺が言っといてやるよ。さあ、行こう。」 近くにあった通信機で機械室に連絡を入れ、さっさと歩き始めた。 「ほら、来い。」 呼ばれて仕方なく彼の後をついて歩く、さっきまでジミーたちと話していた食堂に入り、フランクリンはドンドンと奥に入って行った。奥の端にあるテーブルに、誰かが座っている。 あれは・・・・ 「副司令官、休憩ですか?」 フランクリンは事も無げに言ってレオナルドの隣に座った。 キャ~副司令官だし・・・ 最近はみんな名前で呼び合って、それ程軍の階級を気にする事もなくなってはいたが、さすがに副司令官となると腰が引ける。それも、レオナルドは少し冷たい感じがする男だった。 マーレイ少佐だけだったら良かったのに。マーレイ少佐は、気さくでもっと話し易い。
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