エネイ・ツヤナンソ

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有名な詩人と言われれば、誰もが思い浮かべるのは海外ならボードレールやランボー、リルケやキーツだろうか。 シェイクスピアやゲーテも詩を書いているが、どちらかというと劇作家、小説家のイメージが強い。 日本の詩人なら宮沢賢治や中原中也だろう。彼らは才能もあり世の中にも認められ輝かしい名声を得た。 しかし、世の中には埋もれた才能というものがある。 凄い才能があるのにあんまり有名ではない。もっと評価されてもいいはずなんだが評価されない。 そう、私がこれから紹介する詩人もそのうちの一人。 その名はエネイ・ツヤナンソ。 確かフランスの詩人だったはず。名前を聞いてもピンとこないだろう。とりあえず彼の詩をひとつ紹介する。 飲み終わったコーヒーカップ 飲み終わったコーヒーカップ 溶けずに残った苦き者たち 全く世間に溶け込めず はぐれ者の私のよう しかし、それが私の生き方 甘くはない選んだ道 時に光を忘れて 戻りたくもなるけれど。 なかなか素晴らしい詩だと私は思う。切なさの中に力強く生きようとする心が刻まれている。飾らない言葉がまた素朴な感じがして良い。 さて、この詩人に興味を持ち始めた人もいるだろう。いつの時代の人なのか。他にどんな詩を書いているのか。 しかし、科学は進歩し、何でもすぐに探せる便利な世の中になったとはいえ、彼のことは分からずじまいに終わるだろう。 何故か。 だって、そんな詩人は存在しないから。 エネイ・ツヤナンソなんて詩人は。 名前を反対から読めば分かる。 エネイツヤナンソ。 ソンナヤツイネエ。 そんな奴いねえ。 そう私が作った架空の人物だ。 凄そうな偉人の名を借りれば、私の作ったつたない詩までそれらしく輝いて見えるのではないかと思って、こんなつまらぬ文章を書いてみたまでのことよ。 ーおわりー
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