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初めて顔を合わせて以来、陣内からは毎日連絡が来るようになった。 半田が昼ごはんの写真を撮って投稿すると、だいたい30分以内にDMが送られてくる。 アジフライでかいですね 今日はおそば? 胃の調子わるいんですか ざぎんでしーすー、うらやましい そんな調子で、メニューに関するコメントが中心だったが、やりとりするうちに、彼に関することもわかってきた。 大学進学を機に群馬県から上京し、現在はひとり暮らしであること。 クリスマスイブ生まれであること。 わりと自炊をするらしいこと。 蘭々のラーメンは麺硬め、ネギを追加トッピングするのが好みであること。 果乃とのやり取りが減っていくのに対して、陣内との会話は日に日に増えていく。 そして、それを楽しみ、ひそかに待ち侘びている自分——かつては3日に一度だった昼食の投稿を、毎日するようになっている事実に気づくと、途端に困惑した。 なにか正当な理由がないと、自分までもが果乃を裏切っているような、不気味な罪意識に囚われそうになるのだ。 ——陣内から誘いがあったのは、やりとりを始めて1週間ほど経ったころだった。 「今日、仕事終わりに会えますか? この前奢ってもらったお礼にコーヒーごちそうしたいです」 半田はそのメッセージを見て、一瞬ためらった。 数日経った今も、小さな罪意識は心のなかをごろごろと転がり続けていたからだ。 彼との関係は、この程度にとどめておいたほうがいい。 どこかでそう思いながらも、制御できなかった。 お礼をすると言われて断るのは気が引けるし、それに、例の計画だって早くまとめなくてはならない。 欲求を優先させるための言い訳は、いくらでも並べられた。
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