ざわめき

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ざわめき

 私たちより年寄りの樹齢200年になる大きな樹の下に立つ  大きな樹が風になぶられてざわざわと揺れている  あなたは何を伝えたいの?  あなたは何を教えてくれるの?  この声に耳を澄ませている時  ふっと足元を見ると  髭を生やした深い緑色の帽子を被ったお爺さんがすわっていた  お前たちは何を聞きたいんだい?  明日のお天気かい?  自分の明日の幸せかい?  わしはもっと大切なことをざわめいているのに  誰もきちんと聞き取ろうとしない  子どもを亡くしたあの親ははこれからどうするのだろう  戦火に住む家を失くした人々はどうするのだろう  自然の災害で傷ついた心をどう癒したらいいだろう  さぁ、もっと大きな眼を持って  この広い世界をかんがえておくれ  わしも大分年を取った  大きな樹を演じるのはとても大変なのだ  私にとっても大切なことを教えてくれた大きな樹は  翌日、台風の風に耐えられず根こそぎ倒れてしまっていた  私はお爺さんの代わりに大きな眼をもって  沢山の人に大切なことを教えられるひとになろう  さぁ、どうすればなれるか 一緒に考えよう 【了】  
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