次いつやるか決めた?

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「はい、蓮くん?夏澄だよ」 「……あ、夏澄ちゃん」 雄大とのやりとりで傷ついたメンタルを癒すことに努めていると、夏澄の声が耳に入ってきた。 蓮はベッドの上で座りなおし、背筋をピンと伸ばした。 「こ、こんばんは。ごめんね、こんな夜遅くに」 「別にいいけど、夜遅くないし」 「そっか……なるほど」 「で?勉強のこと教えてほしいんでしょ?」 「え?あ、違うんだよ……そのこの前のことなんだけど。あの……もう1回やるなんて出来ない?」 「勉強を?」 「いや……えへへ、セックスっていうか」 「ああ、だから勉強でしょ?」 「え?違うよ、セックスだよ」 「それ数学の問題でしょ?口頭じゃ教えられないよ」 「……何言ってるの?」 「はぁ……頭悪すぎだよ」 噛み合わない会話に蓮は首を傾げた。 そしてすぐにハッとする。 「もしかして…近くにいるの?雄大さん」 「そうだよ」 「なるほど……そうだよね、子機じゃないよね」 「うん」 「えっと……どうすればいいかな?」 「何を教えてほしいの?」 「あっと……セックスしたい」 「いいよ」 「いいの?」 「うん」 「また……してくれるの?」 「だからいいって言ってるじゃない」 「そ、そっか。ありがとう……嬉しいな、あはは」 「で?話は終わり?」 「あ、待って!その……話したいんだ、予定のこととか」 「今は無理」 「じゃ、じゃあ明日話そうよ!」 「いいよ」 「でもいつ話す?……今日も話そうと思ったんだけど、タイミングが掴めなくて。みんなも近くにいるし……」 「それよりちゃんと覚えてる?明日の昼休み……じゃなかった。掃除時間のこと。旧校舎のトイレ掃除するようにって私たち先生に言われたでしょ?」 「え?言われてないけど」 「だからぁ……言われたでしょ?」 「……ああ、明日の掃除時間に旧校舎のトイレで会おうってことだね」 「違うって」 「え……ああ昼休み?」 「そうだよ、なんで忘れるの。今日のホームルームで言われたばっかりなのに」 「ああ、分かったよ。昼休みの旧校舎トイレだね」 「私は女子トイレをやるから」 「……女子トイレに行けばいいんだね?」 「うん」 「分かった、でもなんで女子トイレ?」 「そっちのほうがいいでしょ?」 「……?分かった、行くよ」 「じゃあ今日はもういいね。明日教えてあげる」 夏澄は電話を切ろうとした。 蓮は慌ててそれを引き止める。 「待って!」 「なに?」 「その……あの……」 「電話で教えるには限度あるから、また明日でいいでしょ?」 「ち、違うんだよ……あの」 「なに?」 「……勃起してるんだ」 「……はぁ?」 呆れた彼女の声が機械を通して蓮の耳に流れる。 蓮は赤面した。 「だからなに?」 「その……君の家に電話する前から勃ちっぱなしなんだよ。恥ずかしいけど……夏澄ちゃんとのセックスが忘れられなくて」 「……だから?」 「……夏澄ちゃんの声を聞きながら、オナニーしたい」 恥ずべき事実を伝えて、蓮の顔がさらに赤くなる。 死ぬほど情けなることを言っているのは自分でも分かっているが、この夜を彼女無しで乗り越える自信がないのだ。 「いいでしょ今日は、明日にしようよ。ちゃんと教えてあげるから」 「ちょっと……もう無理なんだよ。お願い、かけなおすからさ。子機持って部屋に戻ってよ……そして俺と話して」 「無理、もう眠るから」 「お願い……夏澄ちゃん」 夏澄は頭に手を当ててため息を吐いた。 人工物から漏れる彼女のため息を聞いて、さらに蓮は欲情する。 「分かった……数学でいいんだね?」 「うん……お願い。夏澄ちゃんの声が聞ければいいんだよ」 夏澄は適当に暗記した数学の知識を蓮に教えた。 教えるというより単語の羅列だが、それは確かに夏澄の声だった。 蓮は爆発しそうな陰茎をパンツの外に出した。 そして握って激しく上下に動かす。 滔々と夏澄は数学の単語を宣った。 蓮は息を荒くして射精する。 ティッシュにくるんでなどいなかったので、精液は壁まで飛んだ。 「はぁはぁ……ごめん、出したよ」 「それはよかったね」 「ありがとう……本当に変なことに付き合わせて」 「気にしないで、じゃあまた明日。おやすみ」 「うん、おやすみ」 射精までさせてもらって自分から通話を切るのは悪いと思った蓮は、彼女が切るまで待っていた。 しかし彼女は切る様子はない。 仕方がないので、断りを入れて蓮は通話を切ろうとした。 「変態」 夏澄はそうひと言罵倒して、通話を切った。 小声のからかうような、嬉しがっているような声……。 射精したばかりの蓮の陰茎が徐々に回復していく。 得もいわれない快感と幸福が再び舞いあがってきた。 蓮はもう1度収まらぬ興奮を発射して、笑みを浮かべてベッドに寝た。
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