次いつやるか決めた?

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夏澄は自分が履いていたバレーシューズを片方脱いだ。 使い込まれた黒ずんだシューズを蓮の顔に押し当てる。 抵抗しようとする蓮の手を振り払って、耳元で囁く。 「抵抗しないで、ルールでしょ?」 蓮の動きが止まる。 そして大人しくシューズの臭いをかぎ始める。 「はい吸って、ゆっくり……」 蓮は鼻で思い切り臭いを吸い込む。 あまりの強烈な臭いに咽てしまう。 「失礼だなぁ、そんなに臭い?」 蓮は素直に頷いた。 夏澄はにやりと笑って、押し付ける手を強める。 臭いを嗅ぐたびに、脳に靄がかかる。 初めての臭いだった、他人のきつい体臭を嗅ぐなど。 だが行為の気持ち悪さに反して、蓮の陰茎は勃ったままだ。 「私ってけっこう体臭きついんだよね、それでけっこう悪口言われたりするし……蓮くんは私の臭い好き?」 蓮は何も言わなかった。 夢中になって夏澄の臭いを嗅いでいる。 「私の臭い、好き?」 蓮は頷く。 夏澄は下唇を噛んで、蓮の履いている短パンを脱がした。 そして下着も剥き、熱々のペニスを手で握る。 上下に動かして、彼の快楽を増長させた。 蓮は発射寸前なこともあって、すぐに射精した。 精液が女子の部室の棚を汚す。 「すごい勢いだったね」 「はぁはぁ……そう?」 「痛いのは嫌いなMみたいだね」 「……え?」 「精神的にいじめられたいタイプ?」 「……なに言ってんの?」 「自分をちゃんと知ることは大切だよ」 夏澄は手についた精液を舐めて、洗面台で手を洗う。 蓮も近くにあったティッシュを手に取って、汚した部分を拭き綺麗にする。 「女子の部室で射精なんて、蓮くんも変態だねぇ」 「そうかな……?」 「そこは疑問を持つなよ」 的確なツッコミを繰り出して、夏澄は子供っぽく笑った。 手も洗い終わり、次のプレイに移行する。 「じゃあ次ね、ベンチから下りて」 「え?」 「言う通りにして」 彼女の意図が分からないながらも蓮は指示通りにベンチから下りた。 入れ替わるように夏澄がベンチに座る。 「夏は蒸れちゃうよね、どうしても」 「うん?うん」 「私足汗とかもすごくてさ、靴下もぐちょぐちょになるの」 「……嗅がせてくれるの?」 「うん、嗅ぎたいでしょ?」 「……うん」 「いいよ、好きなだけ嗅いで……私の臭い」 床に座る蓮に、夏澄は組んだ右足を差し出した。 蓮は恐る恐るその足を両手で包み込んだ。 顔を近づけて、黒いソックスを嗅ぐ。 しぼんでいた陰茎が徐々に膨らんでいく。 生臭くもあり、酸っぱくもある彼女の足裏の臭いを堪能した蓮は断りも入れずにソックスを脱がせた。 白く光る素足の親指に鼻を当てて、思い切り臭いを吸い込む。 「脱がしてもいいなんて言ってないけど」 「……ごめん、怒った?」 「いいよ、でもちゃんと味わって」 夏澄は素足になった右足を蓮の顔に乗せるように押し付けた。 確かな肉厚と重量を蓮は感じ、一層興奮した。 足裏全体からのきつい臭いがダイレクトに鼻に入り込む。 蓮は我慢できず、ペロペロと舐めた。 まず全体を舐めて、次に指を丹念にねぶる。 唾液でびちゃびちゃになった足裏を離した夏澄は満足そうに微笑んだ。 「美味しかった?」 「うん……すごく」 「変態だね」 「……そうかも」 「じゃあ……もっとしてあげる」 夏澄は左足ソックスのつま先部分を指でつまみ、ゆっくりと脱いだ。 徐々に見えてくる彼女の素足が蓮を恍惚な表情にさせた。 先ほどと同じように夏澄は左足を蓮の顔に乗せた。 そして唾液で濡れた右足で男性器を踏む。 蓮は足を味わいながら、足でしごかれて頭が真っ白になる。 ぎこちない足コキがもどかしい快感を生む。 吐息は荒く、しゃぶる舌の動きは激しさを増す。 1度出したというのに、蓮はまたすぐに射精した。 頭の中が空っぽになるような錯覚を覚え、どろどろした熱さに体を支配される。 夏の密室で性を貪る2人は、互いに汗だくになり肌が光を帯びていた。 「足にかかった」 「舐めた方がいい?」 「ううん、違う場所舐めてもらう」 夏澄は汚れた足を拭いて、息も絶え絶えの蓮の手を引いて立ち上がらせた。 ペタペタと歩き部室を出て、体育倉庫に入る。 夏澄は埃っぽいマットの上に座り、ポンポンと自分が座っている横を叩いた。 「座ってよ」 蓮は彼女の隣に座った。 あれだけ性的な接触をしたというのに、2人の間には距離がある。 どちらかが肩を組んだり、頭を乗せたりすることもない。 火照った体を冷ますかのように、黙って眼前の空間を見つめている。 「……夏澄ちゃん」 「ん?」 「……続きしないの?」 「ちょっと休憩、疲れたでしょ?」 「俺は疲れたけど夏澄ちゃんは疲れてないでしょ?」 「私だって疲れてるよ、部活で」 「そっか……でも俺だけ気持ちよくなってる。それは申し訳ないよ」 「気持ちよくはしてもらうよ。私も興奮してるし。でもちょっとお話しようか」 「いいけど……何話すの?」 「そうだねぇ」 夏澄は顎をしゃくれさせて目を細めた。 しばらく「うーん」と唸った後、笑って天井を見上げた。 「別に私から話したいことないや、蓮くんはある?」 「うん、あるよ」 「なに?」 「部室の窓、夏澄ちゃんが開けておいたの?」 「そうだよ」 「ありがとう、頭がいいね」 「誰でも思いつくよ」 「でも……あれだね。こういうこと言うのなんだけど」 蓮はもじもじと気恥ずかしそうに指遊びをする。 夏澄はその行為に首を傾げた。 「……なに?」 「今度からは……ここでやったりできるんじゃないかな?トイレとかじゃなくて」 「そうだね、いいところに目をつけたね」 「えへへ、そうかな?」 「いいよ、何度でもやってあげる。蓮くんがしたいなら」 「ありがとう……あとそのことでも話があるんだけど」 「話?」 「どうして……俺とやろうと思ったの?」 「だから好奇心だって、セックスをやってみたかったの」 「……まだあるの?好奇心」 「うん、ある」 「そうだとしたら……どうして俺の都合に合わせてくれるの?夏澄ちゃんから……やろうとか言わないし」 「言ったでしょ」 「最初だけだよ」 「そうかな?」 夏澄は不敵に笑って、蓮の縮こまったペニスを撫でる。 「蓮くんは私の思い通りに動いてるかもしれないよ?」 「……そうなの?」 「さあね」 「え?そうなの?」 「ふふ、素直だね」 「気になるんだ、教えてよ」 「教えない」 「どうして?」 「教えたくないから」 「……そっか、じゃあ聞かないよ」 「……でももし、そうだとしたらどうする?私が蓮くんを思うように動かしてたら……」 蓮は俯いて「うーん」と悩んだ。 夏澄はその間、彼から目を逸らしていた。 「どうにも……できないんじゃないかな」 「え?」 「だって……夏澄ちゃんの言ってることよくわからないし、聞いても教えてくれないから……」 「……自分で考えなよ」 「何を?」 「私の気持ちだよ」 「君の気持ちを……?うーん、難しいな」 夏澄は見せつけるようなため息をついた。 当然その意味が蓮には分からない。 ほんの少しだけ潤んだ目で、夏澄は蓮の唇を奪った。 「変わらないね、蓮くん」 「そうかな……?」 「続きしよっか」 「……うん」 「もう2回も出したから十分でしょ?」 「まだ……出したい」 「ふふ、元気だね。でもダメだよ。蓮くんばっかりずるいから」 「うん、だね……何すればいい?なんでもするよ」 「ここ……舐めてほしい」 夏澄は自分の股間を指でさした。 蓮はしっかりと頷く。 彼女に指示された蓮はマットの上にあお向けに寝る。 短パンと下着を脱いだ夏澄の性器が露わになる。 硬いマットの上に両脚を乗せて、陰部をちょうど蓮の真上に持ってきた。 「もう……ぐちゃぐちゃになるくらい舐めてほしい……お願いね」 「うん……分かった」 夏澄はゆっくりと腰を下ろす。 そして遠慮なく全体重を蓮の顔に乗せた。 薄い陰毛も性器もすでにびしょびしょに濡れている。 一瞬で蓮の顔がべたべたになった。 「はぁはぁ……舐めて」 蓮は彼女の性器に舌を突っ込んだ。 最初は遠慮して舐めていたが、夏澄が腰を動かし喘ぎ声をあげているので興奮が高まる。 下品に音を立てて、自分の舌を乱暴に操る。 愛液はしょっぱくて汗の匂いも混じっている。 一心不乱に蓮は舐めた、技術なんてないので誠意と性欲の力のもとで。 夏澄の喘ぎ声も時を重ねるたびに大きくなる。 体育館の外にまで響くような淫靡で品のない高い声……。 「んっ……もうダメ……イクから……やばっ……んん!!」 夏澄は顔を歪ませて果てた。 欲望を満たした後は虚無が襲ってくる。 心地よい性欲の最後に満足した夏澄は、蓮の横に寝た。 蓮も夏澄も息が切れている。 互いに頭をこすり合わせて、暗い天井を見上げた。 「……気持ちよかった?」 「うん……よかった」 「もう1回聞いていい?」 「なに?」 「どうして俺とやろうと思ったの?」 「……さあね」 「……俺のことが好きなの?」 夏澄は鼻で笑った。 そして蓮の首に腕を巻き付けて抱き着く。 「……そんなわけないでしょ」 「俺って……そんなに魅力ないかな?」 「色気づいた?」 「え?」 「ふふ、モテたいの?」 「そういうのじゃないけど……やっぱりかっこいい男にはなりたいな」 「そう……なれるといいね」 「うん、なれるといいな」 夏澄は蓮の抱く力を強めた。 蓮も彼女の頭を抱き、顔を近づける。 「何か……あるの?」 「……何もないよ」 「今まで、こういうのはなかった」 「そうだね、甘えたことなかったね」 「これ……甘えてるの?」 「うん」 「俺は……どうしたらいいかな?」 「どうすればいいと思う?」 「話を聞いて……あげる。かな?」 「そうだね、でも話したくない」 「そっか……じゃあ抱きしめてあげるね」 「ありがと」 「……ねえ夏澄ちゃん」 「なぁに?」 「帰らないと……雄大さん心配するんじゃないかな?」 「……馬鹿」 「え?」 「この雰囲気でそういうこと言う?そんなんじゃモテないよ」 「ご、ごめん……そういうの分からなくて」 「いいよ、蓮くん優しいから……1つずつ直していけばいいよ」 「優しいのは……夏澄ちゃんだよ」 夏澄ははっきりと鼻で笑った。 蓮の腕に抱かれながら、「そうだね」と呟いた。 温かい腕の中で目を瞑り、彼の匂いを胸いっぱいに溜める。
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