私のこと好きになったらダメだよ

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「蓮くんは私とやるの嫌?」 「嫌なわけないよ、だからちゃんと知りたい」 「ふーん」 「ねえ教えてよ」 「やだ、内緒」 「……もしかして」 深刻な顔をした蓮は口をつぐんだ。 その態度が気になった夏澄は「言ってよ」と先を促す。 「遠慮してるの?」 「何を?」 「俺と付き合うこと……」 「な、なんて?」 「だから俺と付き合うことを遠慮してるの?俺が……アカネちゃんのこと好きだから」 夏澄は頬を膨らませた後、盛大に噴き出した。 唾液が蓮の顔にかかる。 ゲラゲラと下品に夏澄は笑い、蓮は顔を腕で拭う。 「はぁ~、笑った笑った……」 「なんだよ……馬鹿にしてるの?」 「うん、してる」 にっこりと夏澄は笑う。 その笑顔は蓮が今まで見た彼女の笑顔の中で1番晴れやかだった。 「馬鹿だねぇ蓮くんも」 「そこまで言うならちゃんと教えてよ」 「だから好奇心だって。それだけだよ」 「じゃあどうして俺なの?カイリくんとかユウマくんとかいるのに」 「強いて言えば好みかな」 「好み?」 「蓮くんの顔、好きなの」 「……それって好きってことじゃないの?」 「全然違うよ、蓮くんは子供だね」 「違いが分からないよ」 「顔の好みと恋愛は関係ないってこと」 「……関係あるでしょ?」 「もういいよ」 鼻で笑った夏澄は大きく腕を伸ばして筋肉をほぐした。 彼女の言っていることがよく分からないので少々悶々とした蓮だが、そういうものかと納得する。 「じゃあ2回目、やる?」 「うん、やろう」 夏澄は蓮の体に覆いかぶさった。 そして頬を撫でて、彼の唇を舐める。 夏澄は腰を動かして自分の性器に蓮の性器を挿れようとした瞬間、玄関から物音が聞こえた。 「……誰か来た?」 「そうみたい……」 一旦2人は性交を中止して、体を離し耳を澄ませた。 ガタガタと玄関の扉を開けようとしている音が聞こえてくる。 「あれ?開かないよ。くそー」 「じゃあ割ろうよ」 「それはダメだよ!たぶんどっかに入れるところがあると思う」 「そっか、じゃあ早く探そう!」 「宗ちゃんエロ本に夢中すぎるでしょ」 「なっ!大和くんが行きたいっていうから付いてきたのに!」 蓮と夏澄には声の主が分かった。 聞きなれた声変わり前の男の声……。 「宗一くんとヤマちゃんだ……」 「なんでここに?」 「なんでだろう……それよりどうする?このままここにいたら……」 「どうしようか?」 「俺が聞いてるんだけど」 「私分からないから蓮くん考えて」 「ええ?」 蓮は顎に手を当てて考えた。 今から服を着て出て行ったら確実に彼らに見つかるだろう。 窓から出るのもリスクが高い。 老朽化した窓は開けると大きな音が立つだろうし、外に出たところを2人に見られるかもしれない。 キョロキョロと部屋の中を見回す。 蓮は頭を回転させて状況の打開を考える。 絶対にバレるわけにはいかない夏澄との関係……。 蓮はこの関係をなんとしても守りたかった。 焦燥に駆られる1人の男子を、夏澄は余裕を含んだ眼差しで見つめ続ける。 「……どうしよう……俺わかんないよ」 「頑張って」 「夏澄ちゃんも考えてよ……2人に見つかったらやばいよ」 「いいよ、私は」 「え?」 「蓮くんとセックスしてること……みんなにバレてもいいよ」 「そ、そんなのダメだよ!」 「どうして?」 「どうしてって……バレたらやばいからだよ」 「誰が?」 「俺と夏澄ちゃんに決まってるでしょ!」 「大きな声出さないの、まっ私はいいんだけどね」 「ダメだよ何言ってんの……おかしいよ夏澄ちゃん」 「そんなことないよ」 「とにかく一緒に考えてよ!……うーん」 夏澄は足を崩して座ったまま、蓮の焦り様を見守った。 彼はすでに立ち上がり、少ない脳みそを懸命に働かせている。 「おっ!ここから入れそうだよ!」 「ほんとだね、さあ行こう!」 「ノリノリだね宗ちゃん」 「だから違うって!早く行って早く帰りたいの!」 「あっそう、じゃあ中に入ろう!おじゃましまーす」 呑気な大和の声が聞こえてくる。 そして彼らの足音が近づいてきた。 「やばいやばい……あっ、夏澄ちゃんそこに隠れよう」 蓮は押入れを指さした。 夏澄はつまらなそうに靴と衣類を回収する。 蓮も自分の衣類を手に持って、急いで押入れを開けた。 押入れには布団が詰まっている。 乱暴にそれを外に出した後、蓮は夏澄の手を引いて押入れの中に入った。 狭い押入れの内部に身を低くし、身を寄せ合って隠れる。 互いの熱が直接素肌に擦りあわされる。 蓮は激しく動く心臓を手で押さえて、バレないことだけを神に祈った。 「なんで2人が来たの?蓮くん知ってる?」 「たぶん……エロ本を探しに来たんだ」 「はぁ?」 夏澄は呆れて物も言えなくなった。 蓮は真剣に話を続ける。 「ここにエロ本があるってカイリくんからヤマちゃんは聞いたからね、本当は俺と3人で行く予定だったんだけどうやむやになってさ……だから今日来たんだ、部活も休みだし」 「ほんと馬鹿だよねあなたたち」 「そんなことないよ、しっ!2人が来る……」 蓮と夏澄は会話を止めて気配を消した。 足音がすぐそばまで近づいてきて、ドアが開かれた。 「あっ、エッチな本がある!」 「ほんと!?」 とうとう宗一と大和はこの部屋に足を踏み入れた。 ガサゴソと物音を立てながら床に落ちているエロ本を物色している。 「すげぇ!本当の話だったんだ!」 「おお……女の人のおっぱいだ」 「こっちはエッチな道具使ってる……これがバイブってやつかな?」 2人はエロ本の内容に対して楽しくおしゃべりしていた。 普段見ることのない女性の露わな姿に興奮しているのだ。 「すごいな!これアソコがばっちり写ってるよ!」 「ええ!?見せて見せて!」 宗一と大和は肩を寄せ合って外国人女性の女性器を見る。 モザイクなどなく、くっきりと細部まで見て取れる。 初めて見る女性器に、彼らの股間は半勃ちになった。 「すごいなぁ……これ蓮くんにも見せてあげたかったよ」 「うん、家に電話してもいないって言われたし。どこに行ってるんだろう?」 「きっと釣りだよ」 「そうかもね、今度は3人で来よう」 「うん」
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