綺麗な部分だけ見てればいいのに

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「ちょっと話があるんだけど」 「え?」 帰りのホームルームが終わり、家に帰る前に特大のうんこを排泄してご機嫌な蓮に夏澄が話しかけてきた。 「なに?」 「勉強のこと」 「ああ、今日も昼休み教えてくれてありがとうね。夏澄ちゃん本当に勉強教えるのが得意で助かってるよ」 「蓮くんが頑張ってるんだよ」 「ありがとう!」 蓮は屈託のない笑顔でお礼を言った。 夏澄は口をへの字にして、言葉を続ける。 「正直言って、時間が足りない」 「え?」 「このまま行けば……まあ赤点は回避できるかもしれないけどその程度。いい点は取れないよ」 「そ、それはちょっと困るな」 「昼休みの時間なんてたかが知れてるからね」 「じゃあ……放課後もやるってこと?」 「そっ。それともう1つ」 「なに?」 「来週からテストが始まるけど、その前に土日があるよね?」 「あるね」 「私の家に来て」 「ええ!?」 蓮は驚いた。 まさか家へのお誘いをされるとは思わなかった。 ちょっぴり期待も生まれる。 「勘違いしないで、あくまで勉強だよ。エッチなことはしない」 「う、うん……あ、でも雄大さんいるんじゃないの?」 「いるよ」 「それってまずいんじゃない?」 「逆だよ、蓮くんはパパに私に勉強教えてもらってるって言ってるんでしょ?なら堂々としてたほうがいい。パパの前で勉強するの」 「そ、そっかぁ……じゃあセックスはできないね」 「当たり前だよ、それに勉強するのは私の部屋じゃなくてリビングだからね。あくまで健全な関係だってことをパパに知ってもらう」 「い、いいのかなそれで」 「いいの、土日は……そうだね。朝9時に家に来て」 「わ、分かった。でも雄大さんに見られながら勉強して頭に入るかなぁ」 「それは蓮くんの問題でしょ?いい?ちゃんと勉強道具持って来るんだよ」 「わかったよ」 「よし、決まりね……ふふ」 夏澄は蓮に近づいて頬を撫でた。 蓮は小首を傾げる。 「いい点取らせてあげるから安心して」 「う、うん……ねえ学校であんまりこういうことは……」 「今の蓮くん、みっともない顔してるよ?」 「え?どんな顔?」 「餌をお預けされた犬みたい」 「どんな例えなの?」 「大丈夫だよ、テストが終わったらちゃんと可愛がってあげる……たっぷりいじめてあげるから」 「……そういう趣味なの?」 「そうだね、そういう趣味。そしてあなたもそういう趣味」 「でも……この前は激しくしてって言ってたよね?」 「女の子にはそういう日もあるの」 「え?そうなんだ……知らなかった」 「納得しないでよ」 夏澄は頬に軽くキスをして、蓮の背中を優しく叩いた。 「ほら教室に戻るよ、英語教えてあげる」 「英語かぁ、苦手だなぁ……っていうかキスもやめてよ」 「期待してるくせに」 「今はしてないよ」 「生意気だなぁ、まあいいや。ほら急いで!時間は有限なんだから!」 夏澄は朗らかな笑顔で蓮の背中を押す。 無邪気な彼女の表情を見て、蓮も思わず微笑んだ。
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