あなたと隔離生活

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いつもと同じように、リビングの机でひとり業務用パソコンを開いて在宅勤務。 ないのは康二との会話だけ。 『15時近所の発熱外来予約取れた。歩いて行ってくる。未央も念のためマスクして過ごして。あと1時間毎に換気』 『了解。マスクして極力リビングで過ごすようにするから。換気もやっておくね』 『お昼ごはん食べれそう?』 『スポドリ1本追加で持ってきてもらえると助かる』 『発熱外来行ってくる』 『行ってらっしゃい。気をつけて』 玄関のドアを開く音は聞こえるのに、顔を見て直接伝えられないことが、こんなにも寂しいなんて。 『ただいま』 『おかえり。夕ごはんどうする?』 『解熱鎮痛剤処方されたから、朝の残りご飯と味噌汁だけ寝室で食べるよ』 『わかった。19時にお盆に乗せて寝室のドアの外に置いておく。他にも欲しいものあったら言ってね』 『ありがとう』 『検査結果わかるの早くて明後日だけど、今日から別々に寝てできるだけ接触しないようにしよう。万が一コロナだったとして、未央にまでうつしたくないし』 自分が一番しんどいはずなのに、未央のことを思いやってくれる康二。 その優しさに、胸がきゅっと締めつけられる。 『私は今のところ大丈夫。とりあえず今日からリビングのソファで寝るね』 康二は寝室、未央はリビング。 この日がふたりの隔離生活の始まり。 そして翌日、康二から送られてきたLINEには、こう記されていた。 『病院から検査結果の連絡あり、コロナ陽性。自宅療養期間は発症日から7日間』 『ワクチン打ったのにな……未央も巻きこんでごめん』
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