警備員

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警備員

「待てー!」 「逃がすな!」  夜と言うよりか午前1時過ぎのことである、およそ素人とは思えない風貌の男二人が叫びながら激走している。 時間からしても運動会にしては到底ふさわしく無い時間帯だ。 追いかけるものが居れば、追われるものが居る。 追われている男「ハァッ、ハァッツ・・ッムもうだめだこれ以上走れない、ハァッ、ハァッツ」  下水道工事の警備員「そうです、仰る通りこれから先は侵入禁止です、迂回路は在りませんので元来た道にユータンしてください」 「そっ、そんな、ハァッ、ハァッツ ユータンなんかしたら殺されちまう・・だめだ何とかしろ⁉」 「そりゃまた物騒な話ですね、何とかね~?・・」 警備員は、あごに手を当てながら、はたと首をひねった。えぇ、どっちが先かって?そんなのどっちでも、ドラマの進行には差し支えありませんので。  「そうだ! 前には進めないけど地下になら潜れますよ。ほら、あそこ、いま下水道工事の最中なんですよ」 警備員は蓋の開いたマンホールを指さした。そしてマンホールの真上に来ると手の平で作ったメガホンで穴に向かって大きく叫んだ。
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