Ⅳ.私達の着地点(2/5)

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Ⅳ.私達の着地点(2/5)

 電車はガタンゴトンと進んでいて、私達はそこに座っている。  近くのお母さんはベビーカーを揺すって子供をあやしたり、サラリーマンはスマホをいじりながら、眠気と闘っていたり。  私と宮岡はといえば、何にもしていない。  会話をしている訳でもなければ、互いに違うことをしている訳でもない。  何もしないをしていて、それがすごく、心地よかった。  電車の揺れがたまに私達の指先を触れ合わせると、その時だけそこに神経が集中する。それ以外は至ってニュートラル。心地良い沈黙。  私は自分の気持がはっきりしたし、すぐにでもそれを伝えたい。  なぜか分からないけど、宮岡も似たようなことを思っていそうな気がする。それが互いに沈黙を許容できている要因なんじゃないかと思う。  しかし人生、そう簡単にはいかない。  いつもそうなんだよね、人生って想像もつかないところから殴ってくる。  ――静寂を破ったのは、私でも宮岡でもなく、第三者だった。  それも、知らない人間でもなかったのだ。
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