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Ⅳ.私達の着地点(4/5)
中学時代、綾音と私は同じグループにいた。
正確には当時は立場が逆だったし、私は綾音のことなんて対して気にもかけていなかった。私のグループに入ってきたうちの一人、それだけ。
言葉は悪いけど、金魚のフンというか、なんか懐いてくれてるなっていうだけの存在だった。
高校だって私が行くことを確認してから同じ船南にしていたし、服装とかもよく質問されていた。
その関係が大きく変わったのは、高校に入ってすぐのときだ。
高校入学前の春休みで、綾音はすごく綺麗になった。メイクとかも覚えたのだろうし、痩せたのもあると思う。
私は対象的に春休みで若干肥えたくらいの勢いだったから、入学式で一緒に登校した私よりも、綾音に注目が集まるのは必然だった。
それはまあ調子に乗っていた私にとってはショックだったけど、綾音は友達だと思っていたから、嫉妬と同じくらい誇らしい面もあったんだ。本当に。
でも綾音は違ったらしい。
他の高校からも綺麗な子は来ていて、そのメンバー達と付き合うようになった。そして私や中学時代の友人からは離れていった。
それだけならまだしも、私に対して強く当たるようになってきた。聞こえるように嫌味を言ったり、上から目線で話してきたり。
私だって負けたくないと思ったから、体重を元に戻したり、ちょっと小綺麗にしたりしたんだけど、綾音を見返すまでは至らなかった。
次第にそんな生活に疲れてきて、今の自然体、達観した状態に辿り着いた。
……要するに綾音はね、今『ロスト・アングル』状態なんだ。
私が中学時代にそうだったような、有頂天。
別に責める気はない。私だってそうだったと思うから。
因果応報だって割り切ってるよ。
だから『地味』とか『ボランティア』呼ばわりされたって、私は黙っていた。
でもね。
私の隣に座っていた正直少年は、黙っていられなかったみたい。
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